Image: Julien's Auctions
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丸メガネに黒のタートルネック、色落ちデニム、そしてニューバランスのスニーカー……ご存知、スティーブ・ジョブズのお決まりコーデである。 彼が毎日同じ服装だったことは有名だが、それらのアイテムは当然、効率性とコストを考えつつ、“本物”を見極める審美眼で選び抜かれていた。ブランド戦略に長けたカリスマが、自己表現のひとつであるファッションを怠るわけがないのだ。 そんな彼が履き潰すほど愛用していたビルケンシュトックのサンダルが先日、オークションへと出品され、なんと約3000万円(21万8750ドル)という高値で落札されたことが話題になっている。
1〜2万円もあれば買えるビルケンが3000万円って……やっぱりジョブズさん、ハンパねぇっす。 (GettyImages)
アップル急成長の陰に「アリゾナ」あり?
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ご承知のとおり、ビルケンシュトックは足医学大国であるドイツの靴ブランドだ。 ブランド独自のフットベッドは履くたびに足裏の形状にしっくりハマってくると評判で、ジョブズもその履きやすさと実用性に惚れ込み、素材から技術面まであらゆる情報を欲しがったという逸話も残っている。
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そんなビルケンのロングセラーモデルのひとつが「アリゾナ」。バックルが付いた2本の大きめストラップが特徴的で、甲の高さや足幅に合わせてフィット感を調整できるのはもちろん、通気性がよく、開放感もある。 今回、3000万円の値段がついたジョブズのサンダルもこのモデルで、本人は1970年代から’80年代にかけて愛用していたようだ。フットベッドには彼の足の跡がくっきりと残っている。
ちなみに、アップルの大ヒットPC「Apple II」が発売されたのは1977年のこと。きっとこのアリゾナは、アップルの急成長やジョブズの重要な決断の数々に幾度となく立ち会ってきたに違いない。
そう考えると、3000万円の価値を見出す人がいてもまったく不思議ではないだろう。
ボロボロの姿も素敵。ビルケンは「味」こそ楽しむべし
何も知らない人からすれば、ジョブズのアリゾナもただの古びたサンダルだ。しかし、背景に思いを巡らせれば、そのやつれた姿にこそ価値がある。 余談になるが、以前、オーシャンズWeb編集長の原 亮太が、長いこと愛用していた“ボロボロのビルケン”をリペアしたのは既報のとおり。リペア前の状態はジョブズのアリゾナに勝るとも劣らないほど朽ち果てていた。
原のサンダル「チューリッヒ」。左がリペア前、右がリペア後の写真。
結果的に「経年変化したアッパー(スエード)の味は残しつつ、ソールは新品級にしたい」という原のワガママは見事に叶えられた。
しかし、ジョブズの履き潰したアリゾナを見ると、ナチュラルに経年劣化した風合いがなんともカッコよく見えてくるではないか。
ジョブズのアリゾナが3000万円だというなら、今度は原 亮太のチューリッヒもオークションに出品してみる価値も……えっ? ない? こりゃ失礼しました〜。