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2022.11.05

国産高級車トヨタ「センチュリー」の輸入車にはない豪華仕様と、意外と知らないその歴史


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トヨタ自動車が誇る高級車で、誰もが知っている国産ショーファーカーの代表と言えば、やっぱりトヨタ「センチュリー」じゃないだろうか。

ロールス・ロイスやベントレーといった海外の雲上ブランドのような派手さはなく、むしろ日本らしい奥ゆかしさや侘び寂びを感じる高級車。

名前は知っていても詳細は意外に知らないセンチュリーの凄さを、しっかり解説していきたい。

平安に江戸。古来の様式を取り入れた豪華仕様

トヨタ「センチュリー」。2008万円〜

トヨタ「センチュリー」。2008万円〜


初代センチュリーは、自動機織り機を発明し、教科書にも載るほどの偉人であり、現在のトヨタの礎を築いた豊田佐吉の生誕100年を記念して、1967年に発売された「日本を代表するショーファーカー」だ。



「購入するには審査に通る必要がある」なんていう都市伝説があったほどの超高級車で、当時の内閣総理大臣専用車としても使用された。

1997年に登場した2代目は、日本の市販乗用車として初のV型12気筒エンジンを搭載したことで車好きにも大きな注目を得た。



しかもそのV型12気筒の完成検査では熟練者が聴診器を使って診断するなど、トヨタが誇る職人の中でも選ばれた匠たちによって生産されることも話題となった。

そんなトヨタの、いや日本の技術の粋が集められたセンチュリーの3代目(現行車)は、2018年6月に登場した。



一目でセンチュリーとわかるが、クラシカルというより、むしろモダンなエクステリア。

それでいて「平安時代の屏障具(へいしょうぐ)の柱にあしらわれた面処理の技術を採用」なんて具合に、日本の美意識が強く意識されている。

フロントグリルに輝く鳳凰マークは初代から職人による手彫りの金型が使われ、現行型では江戸彫金の流れを汲む現代の工匠が伝統を継承し、進化させた。



また4色あるボディカラーのハイクオリティぶりは言うまでもないが、中でも新色の「神威(カムイ) エターナルブラック」は漆の黒を表現するため“研ぎ”と“磨き”が加えられている。

具体的には7層の塗装に対して、漆塗りを参考にした、流水の中で微細な凹凸を修正する「水研ぎ」が3回。その後、鏡面仕上げが施されている。



メインである後席は、天井が他より高い折り上げ式の天井に。そこに座る人が格上であるということを示す、武士の時代からある建築様式だ。

しかも天井に張られた織物は「紗綾形(さやがた)崩し柄」。卍を組みあわせたこの柄は、「不断長久(絶えることなく長く続く)」という意味があり、家の繁栄や長寿を願う文様とされている。




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