新型「エクストレイル」の試乗会に「ノート」に乗って参加した(筆者撮影)
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら。 第2世代「e-POWER」「VC(可変圧縮比)ターボ」、そして「e-4ORCE」。
これら3つの新技術を1つのモデルに集約し、日産として世界で初めて世に送り出したのが、4世代目となる新型「エクストレイル」だ。しかも、この仕様は日本がグローバルでもっとも先に発売される。
発売にともない、埼玉県内の山間部を起点に報道陣向けの試乗会が行われた。筆者は、日産横浜本社から第2世代e-POWERを搭載する「ノート」の4WD車「X FOUR」を借りて行き、エクストレイルとの走りの違いを比較してみた。
まずはノートで、首都高速から関越自動車道に入り、花園ICで降りて一般道で秩父方面に向かって走る。もっとも強く感じたのは、グングン伸びる加速だ。同じノートでも2WD車と比べると、追い越し加速ではドライブモードがSPORTSではなくECOであっても、まるでスポーツカーのような迫力あるダッシュを見せる。
比較のために借りた「ノートX FOUR」(筆者撮影)
また、アクセルオフでのリアモーター制御によって、まるでクルマが後方からググッと引っ張られているように感じられ、結果的にクルマの前後の揺れであるピッチングが少なく、いわゆるフラットライドを実現していることに、改めて驚く。またコーナーリング中は、リアモーターが積極的に介入してグイグイと旋回していく。
走行中に発電機であるエンジンがかかっても、その存在が“かなり遠く”に感じるようで、改めて初代e-POWERと比べて静粛性が高まったことを実感した。
そんなノートX FOURの実力を再確認してしまうと、エクストレイルは“さらに迫力がある走り”を見せるのではないかと推測してしまう。
モーター出力はノートの約2倍
なぜならば、フロントモーターは最高出力150kW(ノート比1.76倍)/最大トルク330Nm(同1.18倍)、そしてリアモーターは100kW(同2.0倍)/195Nm(同1.95倍)と大幅にパワーアップされているからだ。
新型「エクストレイル」のe-POWERパワーユニット(筆者撮影)
こうしたモーターを支えるため、ノートで採用した排気量1.2リッターの直列3気筒「HR12DE」エンジン(60kW/103Nm)から、排気量を1.5リッターに増やしてターボチャージャーを装着し、さらに圧縮比が8.0から14.0まで可変するVC機構を持つ「KR15DDT」に置き換えられている。
また、BEVの「アリア」とともに搭載されたe-4ORCEを名乗る4輪駆動制御は、e-4ORCEと名乗らないノートX FOURのシステムのさらに上を行くもの。4輪それぞれに細かい制御を行うのだから、エクストレイルの走りに期待が膨らむのは当然だ。
ノートX FOURを体験した直後にエクストレイルに乗るとどう感じるのか。結論から言えば、「動きが滑らかかつスムーズで、柔軟性があって各種の制御が実に賢い」という印象を得た。
試乗コースは、秩父周辺の一般道から花園ICで関越自動車道に乗り本庄児玉ICへ。交通量のある市街地からワインディング路を抜ける、約54kmの行程である。
試乗した新型「エクストレイル」はオプションのタンレザー仕様だった(筆者撮影)
まず、一般路で出発すると、上質な乗り心地でゆったりとした気持ちになった。ノートX FOURもコンパクトカーとしては質感が高いが、エクストレイルはやはり車格が違う。また、先代エクストレイルと新型エクストレイルを比べると、外観や内装だけではなく“走りの上質さ”を強く感じる。
前後の高出力モーターがこうした上質な走りを下支えしているのだが、単なる力強さではなく、クルマ全体の“動きの凝縮感”が高まっている印象だ。また、一般路を走行中に、試乗会に参加していたほかの新型エクストレイルを見かけたが、外観からは上質さに加えて、力強さやタフネスといったデザインテイストが直感として感じとれた。
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