▶︎すべての画像を見る 保温性と速乾性に優れ、水に濡れても短時間で軽さが蘇るフリースは冬服の代表格。その元祖がパタゴニアの「シンチラ」であることを知る人は意外に少ない。
2022年秋冬のラインナップには、1985年の初代シンチラに原点回帰する懐かしいデザインも復活。日本支社が本国アメリカに提案し、ようやく実現したという「シンチラ・カーディガン」にも大注目だ。
パタゴニア「シンチラ」の誕生秘話
「シンチラが登場するまでは、山登りなどのアクティビティには吸水性や保温性、放熱性の高い天然ウールのウェアが重宝されてきました。
でも、羊毛は雨に濡れると重くなるデメリットがあり、洗濯するのも乾かすのも大変ということで、パタゴニアが開発に乗り出しました」(パタゴニア日本支社のマーチャンダイジング担当・細野雅子さん)。
ウールの強みを再現しつつ、ウールの弱点もカバーするポリエステル素材でできたのがパタゴニアの名作フリース「レトロX」の原型で、1985年に発売されるとアウトドアやアパレル業界をあっと驚かせたという。
「その後、パタゴニアがレトロXの原型を改良してシンチラを開発すると、いろいろなメーカーさんが真似をしてくれて、業界で“フリース”と呼ばれるようになったんです。
ちなみにレトロXの原型は、パタゴニアの創始者イヴォンの妻がトイレの便座カバーの暖かさや薄さをヒントにしたのがきっかけだと聞いています」。
かくしてフリースは世界で確固たる地位を確立していくわけだが、まさかフリースのオリジンが、トイレの便座カバーがだったとは!
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