高田さんは高村さんと初対面という異例の展開だが、実際会ってみてどうですか?
「わざわざ、岐阜ホールに足を運んでくれたというのが嬉しいですね。世界遺産の白川郷がお好きのようで、弊社は白川村の村長の計らいで合掌造りの建物を支社のオフィスにして、現地の情報を発信しているので、そこにも親近感を覚えます」。
月の半分は岐阜の本社に勤務する高田さん。
優奈さんは世界遺産検定2級を取得しており、白川郷についても以前から勉強。今年の夏に家族で行く予定だったが、コロナ禍で断念したという。
「技術面では釘を使わない建築という点がすばらしいと思います。また、茅葺き屋根の葺き替えの際には『結』(ゆい)という助け合い文化が集落全体に残っているのも素敵ですね」。
来年の1、2月にはライトアップイベントも開催予定。
ところで、どんなお子さんでしたか?
「幼稚園の頃から手のかかる子供だったと聞いています。服のポケットにティッシュを入れたまま洗濯すると、いい感じの花吹雪状になるのが楽しくて、わざとティッシュを詰め込んだまま洗濯カゴに置いていたそうです」。
しかし、お母さんは「楽しそうだからいいか」と思って怒らない。未来の岐阜代表は、このように伸び伸びと育てられた。
「小6のときに生徒会長になって、先生たちと学校の運営に関わります。同時に理不尽なことへの疑問も芽生え始めました。『廊下は右側通行』という校則があったんですが、車とかも左側通行じゃないですか。そんな疑問を先生にぶつけたら、『まあ、校則だから』と躱されて、大人はずるいなあって」。
やがて、中高一貫校でダンスに打ち込んだのち、大学を受験。高3の時点で偏差値は30ぐらいだったが、ほぼ勉強しかしない生活を経て慶應大学に合格した。
岐阜代表としての活動は9カ月間。さらに、今年2月には横浜開港祭親善大使に任命され、ショッピングセンターや娯楽施設で開港祭の事前PR活動に励む。
横浜開港祭新参大使の制服で微笑む優奈さん。
6月2日の開港祭当日には地域の企業も回った。
京セラが開発した実用型ホバーバイクに乗ってVR体験。
ミス・ジャパンの選考会でも評価された地域貢献活動。大学1年の終わりには25歳以下の若者が集まる「かわさき若者会議」に入会し、街おこしイベントや清掃活動などに取り組んでいる。
最近では行政との繋がりもできて、子供たちが環境問題を学べる絵本も制作したそうだ。
イベントの来場者に地元で採れたとうもろこしを無料配布。
なお、大学での専攻は美術史学。もともと好きだった芸術分野のことを楽しみながら学んでいる。お気に入りは登戸の岡本太郎美術館だという。
「もう5、6回は行っています。岡本太郎の絵は色がカラフルですが、なぜか目がチカチカしません。眺めていると居心地のよさを感じてくるのが彼のすごいところ。いろんな形の椅子が置いてあるスペースも好きです」。
美術館のシンボルモニュメント「母の塔」は高さ30m。
優奈さんは今年の3月から仏像研究ゼミに入ったということで、「岐阜ホール」のすぐ近くにある東京国立博物館にもよく行く。
落ち着く空間で、さまざまな作品を見ているだけでリフレッシュできるそうだ。
笑顔と立像。
「とくに好きなのは円空仏。仏像の細工は緻密なほうが技量が高いと言われがちですが、円空は奔放に大胆に彫っています。だからこそ、その土地の木の素材美が活きていると思うんです」。
仏像好きが高じると、仏師の気持ちを知りたいと思い、自分でも彫るようになった。
「いま持っていますよ。これらは5、6時間ぐらいかかりました。円空さんに寄せて、細かいことを気にせずに彫っています。いちばん難しいのは顔です」。
円空リスペクトの仏像には「結」の文字。
一方で、最近ハマっているのは養命酒カクテル作り。まさか、養命酒は今ありませんよね?
「あります。以前、テレビ局の朝の情報番組でタイムキーパーのアルバイトをしていまして。夜中の1時半起きというスケジュールでした。
体調管理をちゃんとしないと思っているときに出会ったのが養命酒。熟睡できるし、風邪も引かなくなりました」。
割り物はいろいろと試したが、牛乳が最高に美味しいとのこと。
優奈さん、かなり面白い方でした。
ここで、高田さんにホール内のショップを案内してもらいましょう。
「飛騨地方のお土産屋さんでは『さるぼぼ』というお守りが売られていますが、これをモチーフにした『つみぼぼ』という積み木が人気です」。
さまざまな積み方ができるので、知育玩具としても好評。
また、家でハーブ風呂を楽しめる「草木花のお風呂」も話題だ。薬草ハーブの袋を鍋で煮出して煮汁ごと浴槽に入れると、ハーブのエキスが出やすいそうだ。
各務原市の日本温浴研究所が開発。
さらに、県内一の繁華街「柳ヶ瀬」、長良川名物の「鵜飼」などをイメージした4種類のクラフトビールにも注目。
岐阜市内の醸造所では試飲もできることから、新たな観光スポットになった。
販売中のビールはホール内のカフェでも飲める。
なお、「岐阜ホール」のオープンは、賛同者によるクラウドファンディングで実現した。
リターンのひとつに、「超豪華屋形船への乗船」がある。つまりは、大きな船のイラストに支援者全員が描かれるというものだ。
この中には、もちろん高田さんもいる。
なかなかに濃い取材でした。
では優奈さん、最後に読者へのメッセージをお願いします。
今度はぜひ、白川郷を訪れてください。
[取材協力]高村優奈https://mobile.twitter.com/yuna_11855 岐阜ホールhttps://gifuhall.com