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2022.10.11

ライフ

コスメメーカー「カラーズ」代表が語る仕事の原動力「常にゲームチェンジャーでありたい」

オーガニック・ナチュラルコスメメーカー カラーズ株式会社 代表取締役 橋本宗樹

オーガニック・ナチュラルコスメメーカー カラーズ株式会社 代表取締役 橋本宗樹

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コスメにおけるオーガニックコスメの日常化を目指し、マスマーケットに浸透させたカリスマ!

オーガニック・ナチュラルコスメメーカー「カラーズ」の代表である橋本宗樹さんに、人生を楽しむためのヒントをインタビュー。

最もFUNなことは子供とのアウトドアライフ

「トゥーパックやドクター・ドレー、スヌープ・ドッグ……、あ、あとはノーティ・バイ・ネイチャーとか。高校時代からヒップホップが大好きなので、当時のシーンをどうしても深掘りしたくて……」。

仕事以外の時間は家族と過ごすことがほとんど。もし自分ひとりの時間ができたらまずやりたいことはと訊くと冒頭の言葉が返ってきた。

「当時は何となく聴いていましたが、ちゃんと聴いてみると歴史や文化がありつつ、ゲームチェンジが起こっていたりするんです。それぞれの物語がつながったときはめちゃくちゃうれしい。あと反骨心に満ちたリリックにもすごく共感します」。

そんな橋本のFUN-TIMEについて訊くと、出てきたのはやはり家族との時間。

「子供が生まれてからは、一緒にいる瞬間を逃したくないんです。一緒に遊んだり、抱っこしてなんて言われるのなんて今だけなので、子供と遊ぶことが僕の幸せの価値観になっています。

最近では家族でグランピング施設に行ってアウトドアライフを満喫しています。本来であればテントを立てたりしたいのですが、まだ子供が小さいのでなかなか難しくて」。

血色のいい肌やすっと伸びた背すじは、野菜中心の食生活と週2〜3回5kmほど走るというランニングの賜物。

そんな橋本に今日から実践できる肌活についても訊いた。すると出てきたのは精油。「これは弊社の商品のセールスではなくて」と、前置きをしつつ。

「毎日のバスタイムに精油を加えるだけで物理的なストレスがなくなるのでおすすめです。この効能は科学的データに基づいていて、具体的に言うとコルチゾールという体内にあるストレスホルモンが劇的に減るんです。

大学の先生も驚くくらい効果があるのでぜひ使っていただきたいです」。

橋本が代表を務めるカラーズはオーガニックに特化したコスメメーカーで、開発から販売まで手掛ける。

自社ブランドであるザ パブリック オーガニックやマツキヨココカラ&カンパニーのプライベートブランド(以下、PB)、アルジェランなどを展開。日本のマスオーガニックコスメ市場のパイオニアだ。

当時キャンペーンビジュアルの制作をしていたマツモトキヨシから、PBのコスメ開発の依頼があったことからコスメ業界に参入したそうだが、その頃カラーズではブランドや企業の広告制作を手掛けており、コスメに関してはずぶの素人。無謀とも思える挑戦も、持ち前の反骨心がむくりと頭をもたげる。

「できないとはまったく思わず、むしろ“絶対にいちばんいいものができる”と確信していました。もちろんコスメを開発した経験がなかったので根拠はないですが、なぜか自信だけはありました(笑)。

今思えば、広告であれコスメであれ、何を作るにも妥協をせずこだわり抜いて作るということに対しては自信があったからだと思います」。

では、それがラーメンでも? といじわるな質問をするも「やれると思います」と白い歯を見せながらきっぱり。まさかの返しに驚いた。

「いつも“このラーメンの美味しさの秘訣は何だろう”って考えつつ、箇条書きにしながら食べているくらいですから。美味しいラーメンが作れると思います。もちろん根拠はないです(笑)」。



日本のメンズコスメは、まだまだ「男が肌を気にするなんて」という風潮があるように思える。これを打破するのに必要なことを訊くと「別に打破しなくてもいいんじゃないですか」と肩透かしをくらった。

「肌がきれいな男がやたらとモテる時代が来れば、世の男性は肌を気にするようになるでしょう。

でも僕は別にどっちでもいいと思っていて、男女に関係なくきれいな肌を作りたければ作ればいいし、作りたくなければ作らなくていい。人それぞれじゃないですか」。

昨今ではコスメに限らず、あらゆる商品が“無添加至上主義”を主流としており、なかには無添加以外は許容しないという極端な意見も散見される。こういった現状に対してどう思うかたずねると嘆息交じりに語る。

「男女にかかわらず肌がきれいでもそうでなくてもどちらでもいいっていうのと同じで、自然のものを使いたい人は使ってきれいになればいいと思います。

うちはオーガニックコスメを作っていますが、サイエンスコスメも作っていますし、僕自身も植物療法士の資格を持っていながらも、ケミカルなものも普通に使いますから。

僕のスタンスとしては、オーガニックであれケミカルであれ、状況に応じて適したほうを使えばいいと思っています」。

仕事の原動力は、いつかゲームチェンジャーになるという思い。これには大好きなヒップホップが関係しているという。

「ラップは反骨心や社会を変革するというメッセージで構成されていますが、ヒップホップシーンにはゲームチェンジャーがたくさんいるんです。

例えば’80年代のシーンでいうと、当時のラッパーたちはこぞってトップスターの真似ごとをしていた中、Run-D.M.Cだけは、ストリートに出てきたんです。しかもラップとロックを融合した新たな音楽を武器に。

当時ではありえないことでしたが、音楽はもちろん、ファッションシーンやストリートカルチャーにまでゲームチェンジが起きているわけです。

ナチュラルビューティの世界でも同じことがあって、ザボディショップの創業者で社会活動家でもあったアニータ・ロディックは、今でこそサステナブルやエシカルといった言葉が広まっていますが、彼女は創業当時から世界に先駆けて企業がすべき、人や環境に優しい取り組みを実践していました。

これまで弊社で実践したことはとても小さなことですが、オーガニックコスメがマーケットで売れないと言われていた時代に、オーガニックコスメをマスマーケットに販売し、市場に浸透させたことは、ひとつゲームチェンジができたかなと思っています。

今後も前例のないことをやって、時代の流れを大きく変えたいという思いが僕の根幹には常にあるので、それを実現させることが夢です」。

インタビュー終了後の別れ際に、その夢はコスメ以外の業界でも考えているのかと訊くと、間髪を入れず「もちろん(笑)」と、橋本は目を細める。

ラーメン業界でも偉大なゲームチェンジャーとなる日も、そう遠くないかもしれない……。


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