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お互いの「写真を撮りたい!」と感じる瞬間について

編集部 こちらもまた綺麗な写真ですね。



斎藤 これはとあるCMに使われた樹なんです。俯瞰で撮影している描写が有名ですが、下から見たら逆光の中に浮かび上がる枝の生命力に圧倒されました。もう一枚は平原の中にポツンとある一本の樹。引退した当時の気持ちに感じるものがあって撮りました。

瀧本 樹の幹から枝に向かって拡がっていく様子は、まるで血管のようであり生命力を感じます。1本の樹の方は、僕もかつて仕事で撮ってますね(笑)。アングルもこれに近い感じです。

斎藤 本当ですか! なんだか嬉しいです(笑)。



編集部 斎藤さんの中で撮りたいと思うスイッチのようなものはあるんですか?

斎藤 なんでしょうね。自分の人生にフラッシュバックさせるというか、こうありたい、こんな人生を生きていきたいと感じさせるものと出会った瞬間でしょうか。瀧本さんはどうですか? これを撮りにいこうという感じですか?

瀧本 最近、個人的な作品では撮るものを決めず、小さなカメラを携え“出会いに行く”ことを意識的にやっていますね。

というのも、コロナによって人類の力や意志だけでは難しいことがたくさんあることが分かってしまった。だったら、むやみにコントロールして撮影するよりも流れに身を委ねる方がいいんじゃないかと思うようになりました。

ふらっと訪れたお寺で思いがけない光に出会ったり、儚い花が咲いていたり、その一期一会な感じが楽しいですよね。



斎藤 そんな瞬間があるんですね。

瀧本 どうしても撮りたくなってしまう衝動に駆られることってあるじゃないですか。自分がどうしても気になってしまってその場所から離れられないというような。

それは何だろうと掘り起こして行くと、幼少期の頃なのか、これからの自分のことなのか、何かしら接点があって、それを考えて撮っていくと、五感すべての感性を含ませることができる。

歓声が聞こえてきたり、匂いがしたり。斎藤さんには、見る者の五感を触発するような、刺激するような写真を期待したいですね。



斎藤 ありがとうございます(笑)。今回の対談を通じて、瀧本さんのことがまた少し分かったような気がします。

自分の思いを持ってひとつひとつに意味をもたせながら被写体と向き合う。そうやって一流になっていくんだなとすごく勉強になりました。


ここで瀧本幹也さんが見た写真を展示した斎藤佑樹 写真展「引退後の景色」は現在、大阪で開催中。10月13日(木)までとなっている。
[写真展詳細]
斎藤佑樹 写真展「引退後の景色」
期間:9月24(土)〜10月13日(木)
場所:ソニーストア 大阪

住所:大阪府大阪市北区梅田2-2-22 ハービスエント4F
時間:11:00~20:00

料金:無料
トークショーアーカイブ動画はこちら

少年時代から昨年まで、野球界を駆け抜けた男が踏み出したセカンドキャリアは今後、どのような歩みを辿るのか。そしてどのように野球界にフィードバックされていくのか。

そうしてもたらされる感動はきっと、再び我々を勇気づけてくれるはずだ。斎藤佑樹の今後を、追いかけてみたいと思う。

※撮影時のみマスクを外しております。
斎藤佑樹のセカンドキャリアは今●昨年、プロ野球人生に終止符を打ち、実業家としてのセカンドキャリアを歩み始めた斎藤佑樹さん。彼が想い描く未来予想図、そしてボールの代わりに手にしたカメラの魅力。


佐藤ゆたか=写真 菊地 亮=取材・文

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