史上最も売れたキング・オブ・クラウン
8代目クラウン(1987-1999)。中古車価格は約55万〜210万円。
旧型(7代目)で「いつかは……」と思わせた、クラウン・パーソナルカー計画は、バブル景気真っ只中に登場したこの8代目で見事に結実。歴代クラウン最高の販売台数を記録した。
写真を見比べてもらうとわかるように、ヒットした7代目のキープコンセプトで登場した8代目は、当時としては先進的技術のカーナビゲーションも使えるエレクトロマルチビジョン、後席用カラーテレビや携帯電話、電子制御式エアサスなど“ハイテク”が満載。
当時の「いつかは……」と憧れていた人々から熱狂的な歓迎を受けた。
クラウンのさらに上級だった「クラウン マジェスタ」
クラウンマ ジェスタ(1991-1995)。中古車価格は約80万〜250万円。
ライバル日産から「シーマ」が登場し、「シーマ現象」と呼ばれるほど大ヒットしたことで、クラウンの命運が変わった。
もともとトヨタはグローバルな高級車として「セルシオ」を投入する予定だったが、国内ではシーマの対抗馬として、クラウンの最上級モデル「クラウン マジェスタ」が開発された。
クラウンと名は付くものの、プラットフォームやボディはまったく異なる。またセルシオ用の4L V8エンジンが搭載されたほか、クラウンにはない新技術や装備がたっぷり奢られた。
とはいえ、これらの新技術&装備は後にほかのクラウンにも投入されていったので、クラウンの先行開発モデルとも言える一台だったのだ。
従来のクラウンと決別した「ゼロ・クラウン」
12代目クラウン(2003-2008)。中古車価格は約20万〜170万円。
「いつかは……」と憧れていた世代も高齢化が進んだ21世紀。一方で若者たちはミニバンやSUVに夢中になっていた頃だ。
そこでトヨタのトップブランドとして1からどころか、ゼロから考え直されたのが、通称「ゼロ・クラウン」だ。
ふっかふかな乗り心地=高級車というそれまでの国産高級車イメージと完全に決別し、欧州のプレミアムセダンの方向を目指した。
狙い通り、若い層から「いつかは……」と憧れる存在へと復活。そのため今でも中古車で人気が高いモデルだ。
アグレッシブに勝負したカラフル・クラウン
14代目クラウン(2012-2018)。中古車価格は約90万〜480万円。
伝統が積み重なるのに伴い、ユーザー層の高齢化が課題になるのは何もクラウンだけでない。メルセデス・ベンツもBMWも、それぞれのセダンの変遷を見ればいかに苦心しているかわかるはず。
原点回帰と革新をテーマに掲げた14代目は、アルファードのセダン版か?と思うようなアグレッシブなフロントマスクで勝負した。
加えてピンクやブルー、グリーンといったカラフルなクラウンも登場。これまでのクラウンじゃ考えられない戦略で、再びクラウン人気を盛り返した立役者だ。