▶︎すべての画像を見る 旅先で飲むビールは格別だ。
近年ではその土地のクラフトビールを目玉にした宿も増えている。静岡県・用宗にオープンした「ザ ヴィラ アンド バレル ラウンジ(The Villa & Barrel Lounge) 」もそのひとつだが、その振る舞い方がひと味違う。
なんと、各部屋にビールタップが付いていて、しかも1泊10Lまで飲み放題ときたもんだ。ビール好きにとっては、まさに夢のような話である。
用宗で30年以上も愛されたフランス料理店をリノベーションした建物は、建築家であるオーナー自らがデザイン。
ホテルを運営するのは、3年前からこの地で醸造所を営む「ウエストコーストブルーイング(West Coast Brewing)」(以下、WCB)。
オーナーは、クラフトビールシーンが盛んなアメリカ・西海岸出身で、「故郷で飲むビールを日本でも飲みたい」という想いから醸造所を始動した。定番のIPAをはじめ、さまざまなスタイルのクラフトビールが楽しめるとあって、すでに根強いファンを獲得している。
醸造所はホテルの真向かい、歩いて数十秒のところにある。
そもそも静岡は、日本でも指折りのクラフトビール文化が盛んなエリア。建築家を本職とするオーナーはまちづくりにも熱心で、WCBのビールは用宗周辺の再開発にもひと役買っているという。
そして今年7月、“泊まれるブルワリー”をコンセプトとした、このホテルをオープンした。
醸造所のタップルームをホテル1階に移転。フレッシュなクラフトビールを宿泊せずとも朝から楽しめる!
客室数は、最大2名用が3部屋、最大4名用が2部屋の計5部屋。冒頭で触れた通り、本場仕込みのクラフトビールが出てくるビアタップが付いている特別仕様だ。
自らタップを引いて注いだビールなら、そりゃあ美味いに決まっている。
ビールを思わせる黄金色やラベルのデザインを落とし込んだスプレーアートなど、醸造所の世界観を反映させた内装にも注目。
客室に設置されたビアタップで、思う存分ビールが飲める。
しかも、部屋のタップから出てくるのは宿泊者しか味わえない限定ビール。
「出来たてのフレッシュな味を届けたい」という想いから、数カ月に1回ほどのペースで入れ替わるらしい。宿泊する時期によって、どんなビールが出てくるかはお楽しみってわけだ。
客室内の冷蔵庫にもさまざまな缶ビールをラインナップ(有料)。まさにビール三昧だ。
とはいえ、10Lなんて飲み切れないという人もご安心を。
グラウラーなどの炭酸用マイボトルを持参すればテイクアウトも可能だ。聞けば、持ち帰り用のボトルをたくさん用意して訪れる宿泊者も多いとか。
近くの海岸まで持ち出して、海を眺めながら楽しむビールもまた、格別だろう。
醸造所では宿泊の有無を問わず、「ブルワリー見学ツアー」(有料・要事前予約)を土日のみ開催。
ノスタルジックで穏やかな港町のホテルで味わう西海岸仕込みのクラフトビール。一度泊まればヤミツキになること請け合いだ。