言葉③「本当に強い人間は、転んでも必ず立ち上がって、堂々と前を歩いていく人間です」
Q:30年間プロの世界で生きてきて、国内外の多くのスター選手を見てきたと思います。成功する人としない人の差、成功しきれない人に足りないものは何だと思いますか? どんどん新しいことをやったらいいですよね。成功も失敗も考えずに。よく若い人が何かやろうとすると、そういうことは前例がないのはダメだって上司にストップかけられることがありますけど、そこでめげることなく、どんどん新しいことやった方がいいと思います。
トライしなければそれがいいか悪いかってことを判断することもできない。想像の中でしかできないんですよ。
Q:永田さんが悩んだときに大切にしていることはありますか? 人生の岐路って絶対あると思うんです。僕は失敗もありましたけど、人生の岐路というものは、自分で選ぶようにしてきましたね。
誰かに言われてやったことって、すごく後で悔いを残すと思うので。そうすることで自分がより大きくなれると思うんですけどね。
僕がこの世界で一番学んだことは、無敗のチャンピオンなんて絶対にいないってことなんですよ。人間は、生きていると絶対に転ぶんです。
プロレスは毎日試合がある。今日勝っても明日勝てる保証はない。負けたからってそれを引きずる余裕もなく、翌日試合なんですよ。
でも、負けた時の試合を見たファンっていうのは、会場の場所が変わりますから翌日の試合には来てないんですよ。今日初めて見るファンの人、そのファンの人は引きずった姿を見ても喜ばないんですよ。
だからそうやって毎日試合をしてきた中で、本当に強い人間っていうのは、転んでも必ず立ち上がって、堂々と前を歩いていく人間なんです。それが僕のこの業界に入って、30年かけて見つけた本当の強さっていう事の1つの答えですね。
Q:30年間は、どこかでリセットしたりせず、ずっと続いてきたような感覚ですか? 続いていますね。チャンピオン時代はベルト獲ってワァーって喜ぶ間もなく、次のチャレンジがきてぶっ飛ばされて、喜ぶ間もなかったです。
そういうのを経験しちゃったんで、戦い続ける、戦いは本当に終わらないなというのを、嫌というほど思い知らされた世界ですからね。
Q:貴重なお話をありがとうございました。30周年、そしてこれからの活躍期を期待しています。 ありがとうございます!!みなさま、これからも宜しくお願いします、ゼァ!!!
[Profile]永田裕志(ながた・ゆうじ)●1968年(昭43)4月24日、千葉県東金市生まれ。千葉県立成東高等でレスリングを始め、日体大に進学。1992年に新日本プロレスに入門し、同年9月にデビュー。02年1月、第31代IWGPヘビー級王座を獲得し、当時歴代最多連続防衛記録となる10回の防衛を果たした。ノアのGHCヘビー級王座を獲得するなど他団体でも活躍。団体最年長選手となった現在も、果敢にベルトに挑戦している。得意技は、バックドロップ・ホールドなど。183センチ、108キロ。血液型AB。弟の克彦は、00年シドニーオリンピックのレスリング銀メダリスト。