「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは……▶︎すべての画像を見る センスが良い先輩のご自宅にとても素敵な照明があったので、どこで買ったのか聞いたら「フロス」という答えが返ってきました。フロスとは世界の有名インテリアデザイナーの照明を扱うイタリアの会社。
フロスのサイトを調べて、それがマイケル・アナスタシアデスというデザイナーの作品だと知り、同時に我が家の玄関とパントリーで使っている照明も、実は彼の作品だったことがわかり、思わず彼のインスタグラムをフォローしたのでした。
するとマイケル本人から「ノンネイティブのことを知っていますよ」とメッセージが! うれしかったですね。
マイケル・アナスタシアデスは1967年生まれで、ロンドンを拠点に活動するプロダクトデザイナー。
工業デザインを学んだ彼がデザインする照明は、男性的でもなければ女性っぽくもなく、繊細なのに大胆。シンプルでありながらユニークな発想が面白く、その不思議なバランスがクセになるのです。
空間を美しく見せるデザインとやわらかい光はどんな場所にもなじんでくれて、建築をわかっている人だということが伝わります。
φ112×H142mm(クリスタルガラス製のベース部分はφ87mm) 8万6900円/フロス(日本フロス 03-3582-1468)
フロスのテーブルランプ「ラストオーダー」トップの光が透明なクリスタルガラスのベースを通して拡散される。トップカバーはゴールド、クローム、マットな仕上がりのコパーとグリーンの4種類、ベースはほかに凹凸のないシンプルなタイプもあり。
そんな彼の照明で今気になっているのがこの「ラストオーダー」というテーブルランプ。もともとNYのフォーシーズンズホテルのレストラン用にデザインされたもので、充電式のため持ち運びが可能。
古代ギリシャの円柱の建築様式にインスパイアされたというフォルムのクリスタルガラスから、心地いい光が広がっていきます。薄暮の時間にテーブルの上に置いたら、ぐっとムードが出そう。キャンドルではなく、「ラストオーダー」を灯すというのがおしゃれです。
もし僕がこれを買ったら、リビングのコーヒーテーブルの上に置いてプロジェクターで映画を見るときに使いたいですね。
うっすら飲み物が見える程度の明るさが映画鑑賞にはぴったりで、最近ハマっている小津安二郎のモノクロ映画にもやわらかい光が似合うかもしれない。
ひとつではなく、いくつか並べても良さそうだし、持ち運びできるからアウトドアでも使えそうです。
ゆっくりする時間ができたらそんな過ごし方をしたいなと、妄想を膨らませています。
[藤井隆行 プロフィール]東京を代表するブランド「ノンネイティブ」のデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。「NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の影響で、最近は鶴岡八幡宮や頼朝所縁の地を散策しています。これが楽しくてしょうがない」。
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは…… 世の中のありとあらゆるプロダクツから、「ノンネイティブ」藤井隆行さんが独自のセンスと審美眼でモノをセレクト。デザインとは? 実用性とは? 買い物の醍醐味とは? ブランド名や巷の情報に惑わされず、本当に自分に必要なモノと出会う方法を指南。
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