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2022.07.10

ファッション

着なくなった服を肥料に。野菜を売る洋服店「アルーフ ホーム」の循環型ビジネス

 

「ベジタブルボックス」のサイズは写真のLに加えて、S(980円)、M(1980円)も用意。野菜ボックス2980円[Lサイズ]/アルーフ ホーム 03-6812-9401


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サステナブルな新世代ブランドの誕生が加速する昨今。その中でも、2021年11月にスタートしたアルーフ ホームの服とその取り組みは革命的だ。

ごく簡単に言えば「服を作り、その服を回収して肥料を作り、その肥料で野菜を作る」というビジネス。でもそんなサーキュラーエコノミー、聞いたことがない!

「先日も2週間ほど畑にいたんです。洋服店なのか農家なのかいよいよわからなくなってきました(笑)」。

アルーフ ホームの代表の園部皓志さんは現在32歳。ロンドンでファッションを学び、大手アパレル企業でキャリアを積んできた生粋のデザイナーである。

「大量生産、大量廃棄の現実において、“人の生活を変える服を作ろう”と仕事を続けてきました。

でも以前勤めていた企業で、今取り組んでいるようなことにトライしようとしたのですが、実現できず。ならば自分でやろうと会社を立ち上げました」。

 

Tシャツとショーツは和紙100%。そのほかプレーンなシャツやパンツなど、リラックスできるワンマイルウェアが多数揃っている。服も野菜もその詳細は公式サイトでチェックを。Tシャツ1万6800円、ショーツ1万4500円/ともにアルーフ ホーム 03-6812-9401


アルーフ ホームの服にはふたつの購入プランが設定されている。「定価購入」と、定価の60%を支払って180日後に商品を返却する「期間型購入」だ。

定価購入して長く着る(手放すタイミングと思ったら返却もできる)のもサステナブルだし、あらかじめ期間を決めて返却し、循環させるのもサステナブル。いずれにしても回収された服は粉砕され、酵素に浸され、ペレット状の肥料に生まれ変わる。

そしてこの運用を現実的にした最大のポイントは服の素材だ。アルーフ ホームの服は、なんと和紙やコットンなど、天然繊維のみで構成。

「これらの服から生まれた肥料は、微生物の働きによって約3カ月で生分解されます。生分解速度は素材が混ざることで変わりますが、土壌を活性することには変わらず、畑をより良いものにしてくれます」。



その畑は京都府中部、南丹市美山にある。季節ごとの葉野菜、穀物、豆などを無農薬で栽培し、詰め合わせて販売。

そして今、畑で新たな実験をスタートした。天然繊維ではなく、土に還る化学繊維が実際どの程度、どのくらいの速さで生分解されるのかという実験だ。

「化学繊維が使えれば服作りの幅も広がりますよね」と園部さんは目を輝かせる。

ブランド名の“aloof”とは「よそよそしい」「遠くにある」という意味。どこか縁遠い存在のサステナブルな取り組みが、“home”のように自分のよりどころとなってほしい。そんな思いで園部さんはサーキュラーファームという新たな取り組みにこれからも邁進する。

清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 加瀬友重=文

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