鈴木 啓太
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今回のアチーバーは、サッカー元日本代表の鈴木啓太さんです。
現役時代は、広い視野とリーダーシップを武器に日本代表としても活躍。J1浦和レッズのリーグ優勝、主将としてACLチャンピオンズリーグ優勝にも貢献されました。
ファンを驚かせたのは、2015年。引退を機に腸内フローラに関するコンディショニングサポート事業を展開する『AuB(オーブ)株式会社』を設立し、起業家の道へ進まれました。
大切にしているのは、「キャリア=人生」という考え方。ビジネスとサッカーで培った未来の切り開き方、挑戦を前にした「恐怖心」との向き合い方を、鈴木さんの「WORD」でお届けします。
言葉①「人生という時間軸で見れば、失敗は単なるスパイスでしかない」
Q:現役引退を前に、「AuB(オーブ)」という新たな挑戦をスタートされました。「うんちの研究」というワードも話題になりましたが、7年たった現在の状況を教えてください。 世の中で、腸活というような言葉が少しずつ浸透してると思うんですけど、私が始めた頃は、まだそこまで浸透してなかったんです。
「アスリートの腸内細菌を研究し、一般の方々の健康に貢献する」という目的のため、多くのアスリートの方々にも協力してもらい、少しずつ広がってきたのかなと。
Q:「転職」などもそうですが、新たな道には勇気も必要です。安定を捨てる不安感や、サッカー界への未練などはなかったのですか? 僕は、キャリアは人生そのものだと思ってるんです。だから、サッカーをやっていたからとか、過去にこういうことやっていたから、その道に進まなきゃいけないっていうことではなくて、大事なのは「自分の人生をどうしたいのか」だけだと思うんです。
Q:大きな決断だったと思いますが、そういった状況で大切にしている考え方や、信念のようなものはあるのですか? 「最終的に自分自身ができないことをできるようにしたい」ということですね。
それが、成長するっていうことだと思いますし、できないことができるようになるって単純に嬉しいじゃないですか。だからサッカー選手にもなったし、今こうやって経営もしている。
できないことができるようになった先に何があるのかを想像することが、僕は重要だと思うんです。
Q:自分の可能性を信じたり、壁を乗り越えていくこと自体を楽しめるのは、サッカー時代のどのような経験があったからなのでしょうか?きっかけがあれば教えてください。 現役の最後に一緒に仕事をした監督(ミハイロ・ペドロビッチ氏)に「お前は今から一番上手くなる」って言われたんです。
その時30歳を過ぎていて、体力的には少し落ちると言われている年齢だったんですが、「ここからお前は一番上手くなる」「技術的にも上手くなる」って。
それまでは、半分仕事的に、プロだから「やらなければいけない」って思っていたのが、毎朝起きたら「練習場に行きたい」に変わったんです。
それがあの一言で、サッカーってこうだったな、こんなに楽しいんだって思えるようになったんです。
Q:考え方が変化したことで、行動も変化していったということですね。 もちろん失敗することもあると思います。失敗する事って、短期的に見たら怖いんですよ。
失敗は点で見たら失敗なんですけど、人生という時間軸で見れば、単なるスパイスでしかないんですよね。
僕自身も、サッカー人生での思い出を聞かれたら、優勝したシーンじゃなくて、失敗したり、降格する残留争いしたり、苦しい時なんです。
今、その経験を「イエス」って言えるのは、過去の自分も受け入れているからだと思うんです。
よく過去は変えられないと言いますが、過去は変えられると僕は思ってるんです。要するに捉え方で変わるんです。
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