和のテイストは古くさいと思われていた時期もあったのに、何周か回って最近はアップデートされたモダンな和が注目されています。実は僕も、最近自宅の玄関にあったブラインドを障子に替えたばかり。
シャルロット・ペリアンは'40年代に初めて日本に来たときに和風建築に感動し、その後しばらくして再来日したら、洋風建築が増えていて疑問に思ったという話を読んだことがあります。
ジョージ・ナカシマやイサム・ノグチらが外からの目線で日本のデザインの良さを見つけたように、日本人も逆輸入されたモダンな和のテイストに、洗練を見いだしたのかもしれません。
木と一緒に日常を過ごせるようにと名付けられた、この「KITO」(木と)というシリーズは、飾っておくものではなく毎日家族で使うもの。
木目のビジュアルや和の道具としてのデザイン、使用感など日々の生活のなかでいつしか子供たちの意識に刷り込まれ、大人になって本格的な木の作品に触れたときに「あれ、昔こういうお盆を使っていたな」と興味が湧くきっかけになるかもしれない。
そういう視点のモノ選びが、未来に何かを伝えていくということなのではないでしょうか?
[藤井隆行 プロフィール]東京を代表するブランド「ノンネイティブ」のデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。「各社から続々とEV(電気自動車)の販売が始まりました。僕のEV化計画、そろそろ決着がつきそうな気配……乞うご期待(笑)」。
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは…… 世の中のありとあらゆるプロダクツから、「ノンネイティブ」藤井隆行さんが独自のセンスと審美眼でモノをセレクト。デザインとは? 実用性とは? 買い物の醍醐味とは? ブランド名や巷の情報に惑わされず、本当に自分に必要なモノと出会う方法を指南。
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