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天邪鬼なオトコを魅了した山ブランドの街着

そして、10年ほど前に購入したのがこちら、その名も「シティレインコート」。

アウトドアブランドではあるものの、さも“街で着ましょう”と促しているかのようなアイテム名に藤田さんはグッときたのだとか。



「スナップTやバギーズといった、今でも定番として名を連ねる名作はいろいろありますが、どれも基本的に、アウトドアシーンを意識した作りになっているんですよね。だからこそ、このシティレインコートは面白いなと感じました」。
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さらに、その魅力を次のように話す。

「これは’91年にリリースされたアイテムで、どうやら’89年から’91年までしか作られなかったみたいなんです。もう30年以上前のことですよ。

今でこそ、本気系アウトドアブランドがタウンユース用に別ラインでアイテムを作るケースは珍しくありませんが、パタゴニアはかなり早い段階で作っていたんだなって。

MARSといったミリタリー系もありますし、そのあたりにも、ブランドの幅と奥行きを感じますよね」。

このコートは、12年ほど前に町田の古着店で購入したそうだ。漠然とコートが欲しいと考えていたものの、トレンチにせよステンカラーにせよ、“まんまクラシカルなアイテムだと面白くない”と思っていたときに出合った。しかも、購入時の金額は1万円。



「値段が全体的に上がっている今となっては奇跡に近いですよね、1万円で買えるなんて。しかもこれ、もともとフード付きだったものがなかったんですよね。それもまた古着ならではかなって」。
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斬新セットアップで内から遊ぶ

このコートは今ももちろん現役で、特に雨の日などは活躍するという。その着こなしはというと、落ち着いたクラシカルな佇まいだけに、インナーに少々遊びを取り入れることが多いようだ。



「昔からコートの着方は変わってないかもしれませんね。ニットやシャツを着て、パンツはデニム。その上に羽織るといった具合でしょうか」。

そればかりもつまらないので、最近はこんなパジャマっぽいセットアップに合わせることもある。
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「コートは撥水性があり、大振りな内ポケットも便利で、まさにアウトドアブランドの面目躍如といった感じ。インナーには僕がやってるソウボウのパジャマ風セットアップを合わせました。

筑後地方に古くから伝わる綿織物の久留米絣を使用しています。独特な風合いは伝統的な背景がありながらもどこか新鮮で、通気性がよく軽やかなので夏に最適です」。



カラートーンを揃えつつ、グラデ調にまとめた好バランス。バケットハットにスニーカーは、アメカジを原体験にストリートの薫陶も受けてきたという藤田さんらしいスパイスである。

こんな個性的な着こなしも、おおらかに受け止める器量がパタゴニアのコートには備わっているとも言えそうだ。

河野優太=写真 菊地 亮=取材・文

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