ローンマウンテンの価格は10年で約2.5倍に?
――入手は困難なのでしょうか? 「グレードの高い石は当時のオーナー一家の金庫の奥に保管されていたりしたものが多いので、なかなか市場には出てきません。でも一部のお店は、何らかの手段でそれらの石を仕入れて販売しています。コレクターが欲しがるのは、そういう石ですね」。
中野さんが所有するローンマウンテンのリング。「300〜400万円で譲って欲しい」と言われることもしばしば。
――バーニーズ ニューヨークでも購入できますよね? 「そうですね。我々のビジネスパートナーである軽井沢のスカイストーン・トレーディングは、世界的に見ても希少な石にリーチできる限られたお店です。代表の小寺康友さんに来店いただき各店で毎年開催しているトランクショーは年々盛り上がっていて、確実にファッション好きにもターコイズが浸透していると感じています」。
「ファッション好きにもターコイズラバーが急増中」と中野さん
――なるほど。実際、ローンマウンテンの石の価格はどのぐらいなのでしょうか? 「ローンマウンテンは、当時、塊状の結晶で採掘されたものがあるのですが、それらは、密度が濃くて硬いのが特徴です。“ナゲット”と呼ばれるボコボコとした塊状のリングは大きさにもよりますが、例えば約10年前で100万円前後、今はその2.5倍で取引されても不思議ではないですね」。
中野さんは、カテゴリーごとに整頓してコレクションを保管している
――そんなに高騰しているんですね。ほかに著名な石にはどんなものがありますか? 「まず、アメリカのターコイズは、ネバダ、アリゾナ、コロラド、ニューメキシコの4州でしか採掘できないのですが、なかでもネバダが一番いい石が採れると言われています。その代表格、ローンマウンテン、ナンバーエイト、ランダーブルーを3大ターコイズと呼びますが、どれも市場価格は上昇傾向です」。
こちらは、ネバダ、アリゾナ、コロラド、ニューメキシコの4州で採掘できるターコイズの略地図。
――実際の価格は、どの程度になるのでしょうか? 「ナンバーエイトは、色が薄くて小さいものなら数千円で買えるものもありますが、上質でボリュームが少し大きくなると、40〜50万円というのもザラです。ランダーブルーに関しては、1974〜77年の3年間しか採掘されておらず、ハットマインと呼ばれて、帽子で覆い隠せるぐらいの量しか存在していません。1カラットで、10〜15万円程度だと思います」。
――そんなに希少なものを、みんなで買い求めているのですね。 「そうですね。とはいえ、3大ターコイズ以外にも、例えば、ネバダブルーやガドバーなど、市場評価の高い石は、いくつもあります。鉱脈ごとに色やウェブと呼ばれる模様の特徴が異なるのですが、その特性を強く反映した石は価値が上がることが多いです」。
ターコイズは、非常に小さなものから購入が可能。
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