父親として、ラッパーとして

父親となった般若は今、息子とどのように向き合っているのか。

「普通の親と変わらないと思いますよ（笑）。一緒に遊ぶし、叱るし、逆に教わるしっていう。父親だからどうとか、他の親はこうしているからとかは気にしないですね。『こうありたい』っていう父親像はないんです」。

父親を知らずに育った般若だが、子育てに過度な戸惑いやプレッシャーは感じていない。

「ただ、『挨拶は絶対にしろ』とは言っていますけどね。『ありがとう』と『ごめんなさい』が言えないやつはダメだと思うんで。古いと言われても、挨拶さえしておけばなんとかなるって思います」。

父親としての自分については言葉少なげに語る般若だが、「もし娘が産まれたら、ガチで引退しようと思っていました」とも告白する。

「歌っていることかバレたら迷惑がかかるじゃないですか。本気で引退を決めていましたね。でも、息子だってわかった瞬間、もうこれまで通り歌うだけ。息子の人生なので、僕の音楽をどう受け止めるかは彼に任せます」。

時に過激で、時にエグい下ネタも含むリリックは今も健在。むしろ拍車がかかっているようにも見えるがこれは余談。

「FOR CHILDREN PROJECT」が目指すもの

新曲の発表と同時に設立した「FOR CHILDREN PROJECT」が掲げるのは、“虐待のない世界の実現”である。

「結愛ちゃんを虐待した父親をぶっ飛ばしても、何も変わらないじゃないですか。でも、もう虐待なんて見たくない。『また虐待か』と麻痺していく社会も嫌です。『2018.3.2』を出して何かが変わってくれればいいですけど、ただ出すだけじゃダメだよなって。だから、仲間を募って団体を立ち上げました」。

「FOR CHILDREN PROJECT」は今後、有識者や著名人と対談やイベントを主催し、親子や地域を巻き込みながら「子供の周りに優しい時間が流れる」取り組みを展開する。

活動の第一弾として、5月5日（木）のこどもの日には、プロカメラマンが家族写真を撮影する特別イベントを実施。また、7月2日（土）に野外音楽堂で行われる般若のワンマンライブでは、親子チケットも販売する予定だ。

「なるべく親子が一緒に外に出られる機会を作りたいと思っています。団体の具体的な活動は本当にこれからですね。まだ始まったばかりですが、皆さんに『力を貸してください』と言うときもくると思うので、そのときはどうかよろしくお願いします」。

凄惨な事件現場に隣人として居合わせたラッパー、般若。彼がその運命を受け止めて行動を起こした今、次にアンサーが求められるのは曲を聴いた大人たちなのだろう。

13thアルバム『笑い死に』発売中！

■般若コメント
大学生（19）「このアルバムを聴いたら彼女が出来た」
主婦（50）「このアルバムを聴いたら肌の調子が良い」
野良猫（2）「このアルバムを聴いたら拾われた」
般若（43）「このアルバムは聴くな」

■リリース作品情報
アルバム・タイトル： 笑い死に （ワライジニ）
発売日：2022/4/27(水)
配信リンク：https://lnk.to/Waraijini