「
オキニのメンテナンス塾」とは……
履き潰しては、何足もリピ買いしてきたローテクスニーカー。汚れていくのが宿命とはいえ、清潔感は保っていたい。
今回はヴァンズのスリッポンを例に、ローテクスニーカーの簡単メンテ術を紹介。引き続き、「シュー オブ ライフ」店長の谷澤さんに教えていただいた。
▶︎動画を観る 谷澤有紀さん●革靴からスニーカーまで、シューズの修理やクリーニングを専門に行う「シュー オブ ライフ」の店長。1985年生まれの37歳。「使い捨てではなく、修理して大事に履く人が増えてほしい」と、ヴィンテージの革靴を取り扱う古着屋から、“直す職人”へと転身したナイスガイ。
どうやっても落ちない汚れがみるみると……
構造もシンプルで、メンテナンスもラクそうなスリッポンだが、厄介なのがソールの汚れだ。今回持ち込んだスリッポンも、アッパーはキレイなのに、いつの間にかソールだけ汚れがついてしまった。
しかもこの汚れ、いくら水拭きしても、スニーカー用の消しゴムで擦っても落ちないのだ。
「ソールがキレイだと、清潔感があるように見えます。ただ、ヴァンスのソールの汚れは本当にしつこい。細かい凹凸に汚れが入り込んでしまっているのでおそらく、スニーカー用の洗濯機で洗っても落ちないでしょう」。
と、谷澤さんが取り出したのが手指の消毒用アルコール。ブランドストーンのブーツやニューバランスのメンテナンスでも登場した“万能液”である。
【使う道具はこちら】
・消毒用アルコール
・防水スプレー
・タオル
アルコールを吹きかけたタオルでゴシゴシとソールを擦ると……ほら、もう汚れが取れてきた!
「通常、店でクリーニングをするときは業務用のシンナーを使うのですが、扱いに注意が必要です。
たまたま手が汚れているときに消毒のためにアルコールをつけて作業していたら、タオルに汚れが移っているのを見て、『もしかして……!』と試したら見事に汚れが落ちたんです」。
想像以上の落ち方で、みるみるソールの白くなっていく。あまりに汚れが落ちるので、「手についた染料が移らないように」と、場合によってはゴム手袋をはめての作業を勧めるほどだ。
「ただし、注意点がいくつかあります。まずヴァンズではお馴染みの踵のパッチ。この部分はプリントが落ちてしまうので、擦るのは避けましょう。気になる人はマスキングしてもいいかもしれません」。
また、つま先部分は、強く擦りすぎると凹凸がなくなってしまうので、力加減には注意が必要だ。
「最後にもうひとつ。このスニーカーの場合は問題ありませんが、コンバースの復刻版チャックテイラーなどに見られる、エナメル加工が施されているソールには、アルコールは使用しない方がいいと思います。エナメル特有の光沢感がなくなってしまう危険があります。
そもそもあの加工は汚れを防ぐためのものなので、水や水性の汚れ落としで落とすことができます」。
さすが、数多のシューズをメンテナンスしてきた専門家。アドバイスが具体的でタメになる。
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