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2022.04.08

ライフ

ハイクのオーナーが語る「家を快適にすることが、豊かな暮らしにつながる」ワケ

訪れたのは渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。

訪れたのは渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。


目黒区東山の閑静な通りに、凛として佇む。インテリアショップ、ハイク。オーナーの須摩光央さんを訪ねた。

渡辺 ご無沙汰しています。

須摩 こんにちは。ようこそ。

渡辺 僕の事務所のオープンでお世話になりましたが、あれから随分経ちます。店は今年で何年目でしょう?

須摩 1999年に起業して翌年のオープンですから、もう22年目です。

渡辺 当時は北欧家具がすごく目新しくて。その点、このショップは先駆けですよね。僕はラグやポスターなどをご用意いただきましたが、慣れ親しんだアメリカものとは違う雰囲気があった。

須摩 独特な、手なじみの良さがあり、温かみと重厚感がありますよね。

渡辺 そうなんです。使っていくうちに良さに気付く。須摩さんは、やはり昔から北欧家具がお好きでしたか?

須摩 ええ。以前勤めていたインテリアショップの買い付けに出かけたときでも、自分用に購入していたのは北欧ヴィンテージばかりでした。

渡辺 改めて店の家具を見ると、空気感に圧倒されます。一見それほど強く主張しないのに、非常に繊細で存在感がある。実際に見て触れないと、この魅力は伝わりにくいかも。

須摩 だからこそ、空間としてのショップが非常に重要だと思います。

渡辺 なるほど。そこは服以上にシビアな要素かもしれません。



須摩 店が同じ場所にあり続けるということは、お客様との約束だとも思っていて。家具は長い間付き合っていくもの。使っていくうちに汚れたり、壊れてしまうこともあります。そんなときには、また店を頼っていただきたい。それが信頼関係につながっていきます。

渡辺 ヴィンテージは貴重ですし、直しながら使う良さもありますよね。そもそも北欧の人は、家具をすごく大切にする。僕の妻はスウェーデン出身なのですが、家具への思い入れが強くて。寒いし、必然的に長く過ごす自分の家を快適にすることが、豊かな暮らしにつながることをしっかり理解している。

須摩 そうですね。そこも北欧家具が美しい要因だと思います。

渡辺 今はコロナの影響があって、家で過ごす時間が増えた。家具への価値は、上がっていくような気がします。

須摩 そのためにも、やはりショップが変わらず続いていくことが大切で。積み重ねた時間とクオリティは、お客様にも実感として伝わると信じています。

渡辺 なるほど。確かに、ハイクは既に街の一部になっている。単純にお洒落だからじゃなく、普通にあることが素晴らしいというか。

須摩 ありがとうございます。小さい店ですが、小さいなりにこの街の歴史の一端を担えたら幸せです。

—控えめで上品、しなやか。この場所でこれから先も、美しい約束がきっと果たされていくはずだ。
「ハイク」
住所:東京都目黒区東山1-10-11
電話番号:03-5768-7180
営業:12:00〜18:00 火・水曜定休 ※月曜は予約制
instagram@hike_shop


若木信吾=写真 増山直樹=文

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