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2021.12.18

時計

ベドウィン渡辺真史さんが高級時計からチープシックな「スウォッチ」に戻ったワケ

渡辺真史さんは右利きだが、時計も右腕に着けるのがお決まり。その理由とは?
渡辺さん愛用時計① スウォッチの「ワンス アゲイン」。曜日・日付表示のウインドーを備えた、スウォッチの定番モデルのひとつ。渡辺さんはプロテクターを取り付けている。「スウォッチのなかでもいちばんシンプルなこのデザインが好きです」。
「きっかけはずっと父親がそうしていたのを見てたからだと思います。僕が10代で初めて買った時計も自然に右腕にしてました。それがスウォッチでしたね」。
時は1980年代後半。スウォッチ人気がにわかに高まり、米国ではスケートボードに興じるキッズたちがそれを2個着けしたりして個性を主張していたのを目の当たりにしたのが、渡辺さんが惹かれた経緯。
「だけど大人になるにつれて、知識も収入も増えていくとだんだんと高級時計に憧れるようになりました。
ロレックスの’60 年代のミラーダイヤル、『サブマリーナー』とか。ジャガー・ルクルトの複雑機械式時計にも手を出したり、エルメスやカルティエを着けてた時期もあったな」。
ベドウィン & ザ ハートブレイカーズ ディレクター 渡辺真史さん Age 50●渡英を経て、旧知の先輩や友人たちとともに服作りに携わる。独立後に会社を設立し、2004年にベドウィン & ザ ハートブレイカーズを始動。現在はミヤシタパーク内のショップ、デイズのディレクションなど、多方面で活躍中。
しかし、自身の経験値がある程度のレベルに達すると、今度はせっかく集めた時計をしだいに手放していくように。そして「エクスプローラー」と「タンク ルイ カルティエ」だけを手元に残し、ついに渡辺さんは時計自体を着けなくなった。
「それが2年くらい前。仕事が忙しくなりすぎて、心の余裕がなかった時期です。時計がいいもので存在感があるぶん、余計に時間に縛られているように感じたんでしょうね」。
そんな生活はしばらく続くが、友人から偶然安価な一本を贈られたことがきっかけで、彼の右腕には再び時計が復活する。それが偶然にも原体験でもあるスウォッチだった。
渡辺さん愛用時計② スウォッチの「ジェリー ピアノ」。クリアケースからムーブメントが覗く様は、まるでポップアートのよう。「高校生のときに初めて買ったのも『ジェリーフィッシュ』というクリアのモデルでした。今見ても楽しい時計です」。
「10代の頃に戻ったような感覚で楽しめていて、僕が好きなスケーターライクなコーディネイトにもばっちりハマる。あと高級時計よりも、スウォッチが知らせてくれる時間のほうが、なぜかリラックスできて心地いいんですよね。
時計選びって自分の内面にすごく影響されるもの。常に身軽でいたいという今の僕のマインドを表す“映し鏡”のような存在だと思うんです」。
 
比嘉研一郎=写真 今野 壘=取材・文


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