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身体を動かすあらゆる人のために

 

ブランドコンセプトの「身体を動かす喜びを少しでも多くの人に伝える」ために、定期的にイベントを開催。また公式サイト内では、リアルランナーたちの取材を通じてスポーツライフの喜びや楽しさを発信している。


もちろん生産工程以外にも多彩な取り組みにトライしている。なかでも画期的なのはビニールの個包装をなくしたこと。

通常汚れやシワを防ぐため、アパレル製品は一つひとつがビニール袋に入れて管理される。これは業界の常識だが……。

「在庫段階からお客さまにお届けするまで、包装用ビニール袋は1枚も使っていません。服がたたまれて袋に入っている。これは結局、誰かがその作業を行なっているということ。

ビニール袋を省くことは使い捨てプラスチックを減らすだけではなく、“誰かの手間”も省いてくれるんです」。

商品を配送する際に使われる段ボール製オリジナルボックス。

商品を配送する際に使われる段ボール製オリジナルボックス。


不要な下げ札は使用せず、品質表示タグにバーコードを印刷して製品管理を行う。梱包ボックスにはリサイクル率の高い段ボールを使用する。売り上げの1%以上を環境団体に寄付するネットワーク「1% for the Planet」に加盟、などなど。

素材、生産、配送のあらゆる段階で、サステイナブルな取り組みが進められている。

ヒアネスは、いわゆる公共環境経済の最先端モデルを実践するブランドだ。その要諦はおそらくD2C、ダイレクト・トゥ・カスタマーという業態にある。

自分たちの考えや表現をストレートにカスタマーに届ける。そしてカスタマーの声に耳を傾け、製品作りにフィードバックする。このシンプルで無理のない循環がブランドの強みなのだ。

「インスタグラムのダイレクトメールもいい意味でフランクな口調のものが多くて、カスタマーとの距離が近い感じ。

これがD2Cの効果なのか、私たちがごく小さなブランドだからなのかはわかりませんが(笑)、着てくれた人の顔が見える実感があります。それがD2Cの面白みですよね」。

ランナーが服を作る側に回り、着心地の良さでランナーをサポート。名前のとおりヒアネスは、身体を動かす人たちの“今、ここ”にあるブランドとして、着実にその存在感を高めている。

HERENESS ヒアネス
創業年:2020年12月
スタッフ:松田正臣、神谷颯人
本社所在地:東京・渋谷
店舗:ウェブサイトのみ

Sustainable Keywords
・「着心地の良さ」によってスポーツライフをサポート
・メリノウールに代表されるサステイナブル素材の活用
・カスタマーとの距離が近いD2Cのビジネス業態

(※1)ミュールジング
綿羊の臀部の皮膚を切り取ること。皮膚面積を増やし毛量が多くなるように品種改良された綿羊は、皮膚のシワに多くの汚れがたまる。特に臀部は糞尿にまみれる。その処理の手間を省くために、現在も羊毛生産国の一部で行われている行為だ。

鈴木泰之=写真 加瀬友重=編集・文

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