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2019.06.21

時計

パテック フィリップ「カラトラバ」は究極のもり蕎麦だという賛辞


時器放談●マスターピースとされる名作時計の数々。そこから10本を厳選し、そのスゴさを腕時計界の2人の論客、広田雅将と安藤夏樹が言いたい放題、言葉で分解する。トリを飾る10本目はパテック フィリップ「カラトラバ」。




安藤 世界三大時計ブランドは何かと問われたとき、いろんな組み合わせがありますよね? パテック フィリップ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンの3つを挙げるのが一般的かもしれないけれど、ブレゲやA.ランゲ&ゾーネを入れる人もいる。広田さんならどう答えますか?

広田 今ですか? 僕は三大という言い方を普段は使いませんが、 強いて挙げるならパテック フィリップ、ブレゲ、A.ランゲ&ゾーネかな。

安藤 ほほう。この組み合わせ方については、あまたいる時計関係者やジャーナリストに聞いても答えはバラバラだと思うんですが、パテックが外れることはほぼないですよね。

広田 ないですね。

安藤 つまり、パテック フィリップは雲上ブランドの中でも一目置かれるブランドであることは間違いない。実際のところパテック フィリップの時計は何がいいんだと思います?

スゴい時計【10】
パテック フィリップ「カラトラバ」



3針、スモールセコンドの「カラトラバ」。美しい造形だけでなく、機械のパーツまですべて手仕上げによってつくられる。K18イエローゴールドケース、37mm径、手巻き。219万円/パテック フィリップ(パテック フィリップ ジャパン 03-3255-8109)



広田 時計って、ケースだったり文字盤だったり針だったりムーブメントだったりと、いろいろな要素があるじゃないですか。パテック フィリップはすべての部分でレベルが非常に高いんですよ。ケースとかも、べらぼうによく磨けているんですよね。しっかりとコストをかけて丁寧に作られているんです。あまりにも良く出来すぎているから面白くないと言う人もいるくらい(笑)。

ハカセというあだ名の広田雅将さん 広田雅将●1974年、大阪府生まれ。腕時計専門誌「クロノス」編集長。腕時計ブランドや専門店で講演会なども行う業界のご意見番である。その知識の豊富さから、付いたあだ名は「ハカセ」。


安藤 ほおぉ、それはある意味、最大の賛辞じゃないですか。

広田 値段は決して安くないけれど、それだけの価値は間違いなくある時計です。

安藤 一概に高いと言い切れない部分もあります。パテック フィリップは複雑時計なんかでも誤操作による故障を出来る限り減らすための工夫を凝らしてますし。だから長く使える。

広田 そうですね。高級時計というのは基本、長持ち設計なんです。そしてメーカーがずっと修理の対応をしてくれる。持ち主が死んだあともずっとです。パテック フィリップはその代表格。だから資産価値が生まれるんですよね。

安藤 実際、海外のオークションなどではヴィンテージに驚くような金額がついてます。パテック フィリップの時計にぱっと見を似せたものってけっこうあるじゃないですか。でも、遠目で見てもけっこうわかるんですよね。繊細に作っているのに、重量感を感じるというか……詰まっている感じ。とにかく質感がいい。



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