旅行なんてどんな車だってできるじゃないか、という意見はごもっともで、出来のいい最近の軽自動車なら長距離を走っても問題ない。
しかしですね、旅行の本質は、豊かな時間を過ごす点にあると思うわけです。そう考えたときに、旅の相棒として真っ先に浮かぶのがGT(グランドツアラー)だ。
旅の相棒としてのグランドツアラー(GT)
「メルセデスAMG GT 4ドア クーペ」。メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスカーブランド、メルセデス-AMG。レーシングシーンでも活躍するポテンシャルを持ちながら、4ドアという実用性を備える。アクセルを踏み込めば圧倒的な加速を発揮するが、制御能力も高くフラットで快適な乗り心地を実現。全長5050×全幅1960×全高1450mm 1216万円〜。
もともとは、英国貴族の子弟の旅をグランドツアーと呼んだ。彼らは2、3年かけてヨーロッパ大陸を旅して、見聞を広め、人脈を築いた。
言ってみれば贅沢な卒業旅行で、かつては鉄道と馬車での旅だったけれど、その後、車が登場する。
例えばケンブリッジ大学留学中の白洲次郎は、愛車ベントレー3リッターで、親友のロビン(後のストラフォード伯爵)と欧州最南端のジブラルタル海峡を目指した。
「マクラーレン GT」。従来の動力性能に特化したラインナップとは異なり、利便性も備えたモデルとして登場。フロント150L、リアにはゴルフバッグがふたつほど積める420Lの荷室を用意。また、快適性を高めるために路面の凹凸に伴ってサスペンションが上下するプロアクティブ・ダンピング・コントロールが施される。全長4685×全幅1925×全高1215mm 2695万円〜。
どんな車をGTと呼ぶのか、明確な定義はない。けれども、大陸を駆け抜ける白洲次郎の相棒を想像すれば、おのずと理想のGT像が浮かんでくる。
パワーがあるほうが楽だし、室内が広くて安定感のある乗り心地だったら疲労も少ない。当然、内外装の設えだって一級品だ。
2/2