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【注目作③】デニムフレアパンツ

2万4200円/ヒステリックグラマー 03-3478-8471

2万4200円/ヒステリックグラマー 03-3478-8471


昨今の潮流のひとつに急浮上してきたのがフレアシルエットで、ヒステリックグラマーにも当然ラインナップ。今回は、ヒッピーやサイケ、パンクなど、さまざまなスタイルが巷を賑わせていた’70年代の雰囲気を表現した。



本作では、裾に向けて生地分量をとった古着のベルボトムを念頭に製作。膝部分にかけてはナチュラルなストレートシルエットながら裾へ向けて大胆な広がりをみせる。その姿は、往年のアメカジを見事に想起させる。

使用した生地は米綿100%で、ムラ形状の糸を使用し織り上げているため、昔の名残をより感じられる。天然インディゴのロープ染色は独特な青味を後に残し、すっきりとしたタテ落ちが次第に現れる。

モノ作りへの情熱が俺たちを刺激する!


 
ヒステリックグラマーのスタートはウィメンズだったため、当初は英語のスラングを総柄プリントにしたものや、ヒッピーテイストな刺繍をあしらったものが主流だった。

そのインパクトにばかり目を奪われがちだが、背景は深い。デニムはいずれも高度な技術力で世界から賞賛される岡山や広島のファクトリーで作られている。

ヒステリックグラマーがベースとするデニムは、我々が血眼になって探し、あまりの金額に泣く泣く諦めた往年のヴィンテージや、ロックスター、アーティストたちがリアルに着用していたデニムだ。その本気度と精度の高さは今季のラインナップからも見て取れる。





ダメージは実際に着用してはき込んだことで生まれた風合いを忠実に再現。濃淡のコントラストを強調しながらフロントに現れるヒゲを表現することでシワに立体感をもたせるなど、随所へのこだわりには誰もが舌をまく。

さすが「リアリティのないクラッシュや加工はやりません」と豪語するだけのことはある。



糸の染色でもブランドのアイデンティティを貫いている。色の深みを生むべく、昨今では化学染料の使用もスタンダードとなっているが、いまだ大半を天然インディゴで糸を染色している点も改めて評価されるべきだろう。

その本気度に惚れ込み、イギー・ポップや木村拓哉といったスーパースターも足を通すヒステリックグラマーのデニム。

その確固たる生産背景から、ブランドで最高の売り上げを記録したスクエアウインドウリメイクスリムストレートデニムパンツや、最高級デニムのシルクデニムといった名品を生み出せたのも納得である。

今季もヒステリックグラマーのデニムに足を通し、ジャパンデニムの心意気を肌で感じようじゃないか。

「世界最高峰! 日本デニムの今」とは……
「デニムと言えばアメリカ」。かつてのヴィンテージブームを経験した人たちはそんな先入観を持ちがち。しかし今、世界を見てみると、プロはこう口を揃える。「デニムと言えば日本」。なんで? 方々から探る、世界最高峰、日本デニムの今。
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鈴木克典=写真 菊地 亮=取材・文

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