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2019.07.28

あそぶ

趣味で始める「タップダンス」。40代からでも「一生モノ」になる3つの理由

連載「37.5歳から始める、タップダンス」
新しい趣味を提案する連載「オーシャンズとレジャー」。今回は、華麗な足さばきから奏でる音で人々を魅了する「タップダンス」に注目。世界的タップダンサー・熊谷和徳氏のレッスンに参加したところ、37.5歳から始めるべき理由を体感することができた。

タップダンスにどんなイメージを覚えるだろうか。

古くは、シルクハットにステッキを持った初老の男性が軽やかにステップを踏むような。あるいは、『雨に唄えば』のクライマックスで演じられる大人数のステージパフォーマンス。いずれも、古き佳きアメリカンカルチャーを感じるオーセンティックなダンスだ。

しかし、タップダンスの魅力は僕らの想像を遥かに超える。

タップダンスは何よりも現代的で、誰しもが簡単に始められる。さらには、おじいちゃんになっても楽しめる一生モノの趣味になり得るのだ。

前回、インタビュー(前編後編)にも登場していただいた世界的タップダンサー・熊谷和徳さんのレッスンを通して、40代がタップダンスを始めるべき理由と魅力を紹介していこう。


熊谷さん熊谷 和徳
1977年、仙台市生まれ。タップダンサー。「KAZ TAP STUDIO」主宰。19歳で渡米後、独自で活動。世界中のメディアにも度々取り上げられ、「日本のグレゴリー・ハインズ」と評される。米ダンスマガジンにおいて「世界で観るべきダンサー25人」に選ばれた。

 


 


【理由①】
靴さえあれば、すぐにタップダンスの神髄を味わえる


そもそもタップダンスは、靴底にTAPS(タップス)と呼ばれる金属の板がついた専用の靴で、リズミカルに床を打ち鳴らすダンス。そう、一般的なダンスと異なるのは、タップシューズを使って「自分が楽器になる」ということ。

つまり、リズムをとって特定のステップで踊るだけでなく、自分自身が思いのままに音を鳴らすことにタップダンスの本質があるのだ。

タップシューズ

「タップダンスにはさまざまなスタイルがありますが、皆さんがよく知っているミュージカルダンスのように振り付け師が決めたステップを踏んでいくもの。そして、ミュージシャンのようにリズムを音楽的に奏でていくような感覚で踏むジャズ的なタップがあり、僕のスタジオではよりルーツに根ざした後者のスタイルにフォーカスしています」(熊谷さん)。

実際、初心者向けに行う最初のレッスンでは、特定のステップを覚えさせるのではなく、講師とセッションするような感じで音を「聴く」ことから、自由にステップを踏むことに時間を割く。これはコールアンドレスポンスといって、ブルースやジャズの音楽と同じような手法が用いられている。

レッスン風景 セッションのパートでは、講師と生徒が向かい合って音を鳴らす。まずは熊谷さんが「パラッ、パ、ラッ、パ」と口ずさみながらステップを踏む。


レッスン風景 続いて生徒が、熊谷さんの「パラッ、パ、ラッ、パ」というリズムを“真似する”。このとき、踏む足の順番は生徒たちの自由。自分なりのイメージで両足のつま先やかかとを使って、熊谷さんが作ったリズムを再現するのだ。


一般的にダンスといえば、「まずは右足を上げて、そのあと右足を降ろしたら左足を後ろに……」といった具合に、リズムに合わせて決まった動き(型)を要求されるのだが、これが初心者にダンスを難しく感じさせてしまう要因でもある。

それに対しタップのセッションでは、写真のように向き合いながら、いろんなリズムを自由な足さばきで表現し合っていく。自由に足を動かせるので窮屈に感じない。

一見、めちゃくちゃなようにも見えるが、同じリズムで足を踏んでさえいれば、自分が楽器としてちゃんと音楽を奏でているという「やった感」を存分に感じられるのである。これが、練習なしでもタップの神髄を体験できる所以だ。

「学びの過程である程度のセオリーやテクニックは必要です。日常的なレッスンでもいろんなステップを覚えてもらいますが、その先にあるのは『音やリズム』を通して“自分で自由に感情を表現する”こと。もともとコミュニケーションの手段であったということもあり、それがタップダンスのゴールだと思っています。ステップをただ覚えるだけで壁にぶつかってしまうのではなくて、初めから自分のリズムや音を感じ、楽しみながら自分自身の感情に向き合うことができると、タップの可能性は無限に広がっていくんです」(熊谷さん)。



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