かく語る『スラムダンク』とは…… 今回のゲストは、M-1グランプリ2020王者、マヂカルラブリーの野田クリスタルさん。
清田信長に憧れて、178cmという身長にしてダンクを決めるまでジャンプ力を鍛え上げたという野田さんは、『スラムダンク』をかく語る。
野田クリスタル●1986年11月28日生まれ。神奈川県出身。マヂカルラブリーのボケ担当。2007年にツッコミ担当の村上とコンビ結成。2020年には『R-1ぐらんぷり2020』と『M-1グランプリ2020』を連続で制覇。以降、バラエティ番組や舞台を中心に活躍。自身がプログラミングしたゲーム、通称“野田ゲー”を集めたNintendo Switchソフト『スーパー野田ゲーPARTY』も好評発売中。YouTube『野田クリスタル【野田ゲー】』
「天才」と呼ばれたいがための涙ぐましい努力
どうも、『スラムダンク』が好きな男です。『スラムダンク』が好きな男です。男で〜す。
とにかく小学2年から中学3年まではバスケットボールに夢中でしたね。キッカケは兄貴たちが読んでいた『スラムダンク』。周りでも、その影響でバスケを始める人は多かったですよ。
子供の頃って、やっぱりオフェンスのキャラがカッコよく見えるじゃないですか。清田信長、福田吉兆、流川楓とか。神宗一郎のような職人気質なキャラも好きでしたね。
僕はこの身長ですけど、ポジションはセンター。いわゆるゴール下が主戦場で、当時は173cmぐらいだったんですけど、180cm台後半の選手たちを相手にもうリバウンドを獲りまくってました。練習もほとんどリバウンドしかやりませんでしたから。
むしろ、リバウンド以外はミドルシュートも入らないし、ドリブルも苦手でしたね。でも、そういう選手は結構重宝されるんですよ。気合いがあれば全然イケますから。身長はあったらあったでいいんですけど、やっぱり大事なのはボールへの執着心ですよね。
だから、桜木とプレースタイルがかぶるし、マインドもちょっと似てるんですよ。コソ練するところとか(笑)。
「天才」って言われたいから、裏でコソ練するんです。表立って努力している姿は見せないし、言いたくもない。“いきなりできた”感を出したいんです。
今もネタ合わせのときとか、待ち合わせ場所のファミレスに相方の村上を呼んでパッと始めるんですけど、まるでその場で思いついたかのようにアイデアを出します。
本当は2時間前からずっと考えていたことなんですけどね(笑)。
どんなことも“道楽”にした者が勝つ
すごく好きなシーンが、桜木花道の夏合宿です。全国大会の前、安西先生や晴子さんと一緒に2万本のジャンプシュートを練習した、あの合宿ですね。
桜木が夜中に、ひとりで自分のシュートを打っている姿を録画映像で見返して、改善点を見つけるんですよね。で、「明日オヤジに聞いてみよう」ってつぶやく。
もう夢中じゃん! もう夢中になってんじゃん!! 映像を観ながら瞳孔開きまくってんじゃん!! って思いますよね。でも、このときが最高に楽しいんですよ。
努力が積み上がっていく感覚が得られるとき。生きていていちばん幸せですよね。「早く明日になってほしい!」みたいな。すごく共感できます。
そのときに安西先生が言っていた「道楽」っていう言葉もいいんですよね。
「オヤジの道楽につきあってるワケにはいかねーんだよ」って言う桜木に対し、安西先生が心の声で「道楽か…そーかもしれんね」って語るんです。
このときは確かに安西先生にとっての道楽でもあるけれど、最終的には桜木自身の道楽でもあったのかなって思うんです。僕としても、今後何をやるにしても道楽にしたいなって思ってるんですよ。道楽になったらもうこっちのもんですから。
基本、僕は部活に行くのがめっちゃ嫌だったんです。当時は今じゃありえないタイプの監督で、怖いし、殴られたくないし、行きたくねーな〜ってずっと思っていました。
監督が体育館に来ないのを毎日祈っていましたけど、桜木の合宿シーンを練習前に読み返しながら、どうにか気持ちを上げていましたね。
そうやって無理やり体を動かした結果、朝練も含めて部活は皆勤でしたから。『スラムダンク』さまさまですよ。
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