2021年11月に、41歳で惜しくも急逝したヴァージル・アブロー。
ルイ・ヴィトンのメンズ アーティスティック・ディレクターでもあった彼に敬意を表し、メゾンは翌月、彼が手掛けた最後のメンズコレクションをマイアミで発表した。
ルイ・ヴィトンと同じ12月に、やはり生前の彼の意思を披露したブランドがある。
メルセデス・ベンツの高級車ブランド、マイバッハだ。
「ルールを変える」。あらゆる所に、ヴァージルの意思が
ヘッドライトと同じデザインのオフロード用ライトがルーフ上と、バンパーに備わる。
メルセデス・ベンツは彼と、マイバッハのラグジュアリーなアイデンティティーを新しいデザイン言語で解釈することを模索していたようだ。
「プロジェクト・マイバッハ」と銘打たれたその車は、2シーターのオフロードクーペ。伝統的な高級ブランドであるマイバッハを、オフロードの環境下で再文脈化したものだという。
全長が約6mというラージクラスのクーペというだけで贅沢だが、そんな車で、小キズも厭わすオフロードへ出掛けるのもまた贅沢。
スーツケースのようなシェルで覆われたシート。ドア内側に備わるのはオリジナルの手斧。
メルセデス・ベンツ曰く「挑発的なデザインで話題を呼ぶことを恐れないアブローは、現状に挑戦し、魅力的なデザインのルールブックを書き換える情熱を持っていた」。
確かに、全長約6mもある大型クーペにもかかわらず、乗車定員はわずか2名。バッテリーで走る電気自動車で、大きくて肉厚なオフロードタイヤとルーフ上のラックやオフロード用ライトが印象的だ。
既存のSUVとも、あるいはラグジュアリーなクーペともまったく異なるフォルムだが、ハズしの美学の真骨頂と言うべきそのスタイルは、どう見てもカッコいい。
キャビン部分はすべて透明になっている。前後に備わるアンダーカバーもクーペには新鮮。
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