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2022.01.04

BMWが約7年ぶりに発売した2台の電気SUV「iX」「iX3」の、待った甲斐ある進化

海外メーカーが続々と日本に電気自動車(EV)を投入しているが、BMWは2014年にいち早くEVを日本に持ち込んでいた。コンパクトハッチバックの「i3」だ。
日本初の輸入電気自動車の座はテスラに譲るが、電動化に向けての動きはかなり早かったのだ。
BMW iX
「iX」。低速時は後輪を前輪と逆位相にして小回りが効くように、高速時は同位相にすることでスムーズなコーナリングを楽しめる。
i3の航続可能距離は当初約130km〜160kmと、今から見れば心もとないものだったが、その後の度重なる改良で、現在では360kmまで走れるようになった。一方で、この7年間同社から新たな電気自動車の投入がなかったのも事実。
しかし2021年11月、ついにBMWはSUV型の最新電気自動車の販売を開始した。しかも、ここに至るまで開発の手を緩めなかったことがよくわかる2台だ。
ひとつはBMWの「未来を凝縮」したというSUVのiX。もう一台はX3の電気自動車バージョンのiX3。これに先んじて同社は2030年までに世界販売台数の50%以上をピュアEV、つまり電気自動車にすると宣言している。
エアサスペンションで車高を+20mm〜−10mmに変えることができる。先進安全運転支援機能も標準装備。
iXはデザインも中身も、2014年のi3から大きく進化している。
同社のX5とほぼ同サイズで、前輪と後輪にモーターがそれぞれ備わる4WDだ。航続可能距離が約450kmと約650kmの2モデルが用意されている。
現在日本にある急速充電器の出力は50kWタイプが多いが、今後増えると見込まれている高出力の150kWタイプなら、わずか10分充電するだけで航続距離を約100km延ばすことができる。
同社としては初めてメーター&コントロールディスプレイを一体化。六角形のステアリングも斬新だ。
基本的に無音である電気自動車なのに「駆け抜ける歓び」にこだわる同社は、音によってもこの「歓び」を表現することを目論んだ。
任されたのはアカデミー賞やゴールデングローブ賞で多数ノミネートされている実績を誇り、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』も担当したハンス・ジマー氏。
彼が作曲したiX専用サウンドが車の走行状況に合わせて鳴り響き、ドライバーの気分を高めるのだという。
ヘッドレスト一体型のシート。オプションでスイッチ類をクリスタル製にすることもできる。
iXがこのように新時代を感じさせてくれる電気自動車である一方、iX3はキドニーグリルなどに青色が差し込まれる程度で、見た目はX3とほぼ同じ。
iX3。キーを持たずともiPhoneをドアハンドルにかざすだけでロックを解錠できる。
機能面でも、一定条件下でステアリングから手を離して走行できるハンズオフ機能や、直前のルートを最大50mまで記憶し、同じルートを正確にバックしてくれるリバースアシスト機能など、先進運転支援機能が備わるのもX3と同じだ。
iX3がエンジン車のX3と唯一違うのは、4WDではないことくらい。後輪のみにモーターが備わる、X3シリーズ唯一の後輪駆動車だ。フル充電での航続可能距離は460km。
「OK! BMW」で始められる音声操作は「BMW」の部分を別の言葉に変えることも可能だ。
ちなみにiX3の登場によってX3シリーズは2Lガソリンターボ、2Lディーゼルターボ、2Lガソリンターボ+モーターのプラグインハイブリッド、さらにスポーティな3Lガソリンターボと3LディーゼルターボのMパフォーマンスモデル、そして電気自動車のiX3と幅広いバリエーションが完成した。
バッテリーを床下に収納したことで、ラゲージ容量はエンジン車と同じ510Lが確保されている。
iXで新時代の先取り感を味わうか、iX3で気軽に電気自動車を楽しむか。
あるいはいずれ電気自動車には乗るから、今のうちにX3でエンジン車を楽しみたいなど、我々のまだら模様な今の気分に、BMWのSUVはしっかり寄り添ってくれるのだ。
 
籠島康弘=文

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