かく語る『スラムダンク』とは…… 小・中学校時代にリアルタイムで夢中になり、「ジャンプの連載を毎週楽しみにしていた」というアルコ&ピースのお二人。
そんな彼らは、『スラムダンク』愛をかく語る。
アルコ&ピース●[左]平子祐希(1978年生まれ/福島県出身)。[右]酒井健太(1983年生まれ/神奈川出身)。2006年結成。YouTubeチャンネル「アルピーチャンネル」も人気。平子さん著書に『今日も嫁を口説こうか』(扶桑社)。酒井さんは、昨年11月に結婚したばかり。
「僕らは結局、石井なんですよ」
平子 僕が『スラムダンク』に夢中になったのは、やっぱり主人公がゼロからバスケを始めるというところに自分を重ね合わせられたからだと思います。
努力によってポテンシャルを開花させて相手を無双したと思ったら、さらなる強者が大きな壁として立ちはだかる。 そのバランスがいいんです。一見ファンタジーな要素を含んでいるようで、
非常にリアリティがあるところが魅力でしたね。
酒井 当時、プロ野球でいったら松井秀喜がいて、サッカーでいったらキングカズがいた。で、
バスケで憧れる選手といえば、この漫画のキャラクターたちだったんですよ。
マイケル・ジョーダンとかだと手が届かないけど、桜木や流川は身近に感じられた。それはやっぱり、物語がリアルに描かれているからこそだと思いますね。
『スラムダンク』(21巻)
平子 キャラクターで言えば、
僕は木暮くんが好きでした。21巻に「メガネ君」ていう回があるんですよ。
インターハイ出場を決める陵南戦の土壇場に、木暮くんが試合を決定づけるスリーポイントを決めるんです。そして、陵南の田岡監督に「
あいつも3年間がんばってきた男なんだ。侮ってはいけなかった」って言わしめるんですよね。
一見おとなしそうで、特に秀でているところもないんだけど、ずっと努力を重ねた上で、最後にパーっと花開いたのが、すごく心地よかった。
木暮くんは個性派揃いのチームの中でも超常識人で、さまざまな局面でまとめ役に徹している。
超個性派集団の中で、無個性の自分に何ができるか思案する毎日だけど、積み重ねたものが、たまにハマるときがある。そんなとき、この
木暮くんのスリーポイントの感じが自分と重なるんですよ。僕は木暮くんなんですよね、この芸能界において。
酒井 僕は真逆だなぁ。流川が好きでしたね、当時は。めちゃくちゃ憧れましたよ。
授業中めっちゃ寝る、でもバスケめちゃくちゃ上手い、みたいな。格好いいですよね。
でも、そういうのに憧れながら、
実際の自分には無理だとわかってしまって泥臭い方向に行っちゃうんですよ。サッカーで言えば元イタリア代表のガットゥーゾみたいな。
でも、大人になって思うのは、僕らは石井なんですよ。
結局、『スラムダンク』は石井から見た湘北の物語なんじゃないかって。
山王戦終盤の「湘北に入ってよかった……」っていうセリフ。あれがすべてですよね。桜木の手を握ったあとの「僕の念も込めといたから!」っていうセリフも、読者みんなが思っていただろうし。
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