OCEANS

SHARE

次々と開発される持続可能な新素材

’21年5月に販売された“アース・ダイ”コレクション。環境負荷の低い染料を使用し、自然の風景に馴染む染色を施している。

’21年5月に販売された“アース・ダイ”コレクション。環境負荷の低い染料を使用し、自然の風景に馴染む染色を施している。


さてアジェンダの3つ目の柱“ビー・プラネット”において、近年ルルレモンでは革新的な原材料が次々と開発されている。その具体的な例を挙げていこう。

’21年5月に販売された“アース・ダイ(Earth Dye)”と呼ばれる限定コレクション(写真上)では、オレンジ、ビート、ノコギリヤシなどの植物廃棄物を再利用した環境負荷の低い染料を使用。従来の合成染料に比べ水、炭素、合成化学物質の使用量が少ないのが特徴だという。

続いて7月には、革新的な素材メーカーであるボルトスレッズ社(※2)が開発した“マイロ(Mylo)”という素材を使用したアイテムを発表。“マイロ”とはキノコの根の菌糸体を原料とするサステイナブル素材で、レザーのような見た目が特徴。ジムバッグ2型とヨガマット(写真下)が登場した。

キノコの根を原料としたサステイナブル素材“マイロ”を使用したヨガマットと、ボストン型のジムバッグ。原料がキノコとはとても思えない、レザーのような質感が特徴だ。2022年春発売予定。価格未定/ルルレモン 0800-080-4090

キノコの根を原料としたサステイナブル素材“マイロ”を使用したヨガマットと、ボストン型のジムバッグ。原料がキノコとはとても思えない、レザーのような質感が特徴だ。2022年春発売予定。価格未定/ルルレモン 0800-080-4090


このほか、バイオテクノロジー企業の米ランザテック社とのパートナーシップにより大気中に排出された二酸化炭素からエタノールを製造し、そのエタノールからポリエステルを作る研究・開発を推進。

またカリフォルニアを拠点とするジェノマティカ社と複数年にわたる協力関係を発表。再生可能原料を使用した、植物由来のナイロンの開発に取り組んでいる。

「新しいパートナーシップはいずれもきわめてエキサイティングな試み。しかし同時に、サステイナブルとイノベーションにおいて業界のリーダーとなることを目指す私たちにとっては、一連の責任ある行動の始まりに過ぎないこともまた事実です」。

そんなテューダーさんの言葉からは、サステイナブルに対する曇りのない視点がうかがえる。

スリーブレスシャツと同様、抗菌効果を持つ「シルバーセント」素材を使用したTシャツ。身体の構造に合わせた裁断で動きやすさ抜群。一度袖を通せばクセになる一枚なのである。各9500円/ルルレモン 0800-080-4090

スリーブレスシャツと同様、抗菌効果を持つ「シルバーセント」素材を使用したTシャツ。身体の構造に合わせた裁断で動きやすさ抜群。一度袖を通せばクセになる一枚なのである。各9500円/ルルレモン 0800-080-4090


オーシャンズは近年、ウェルネスに関してある程度ボリュームを割いた特集を定期的に企画している。それはなぜか。端的に言えば、身体をケアしたり積極的に運動することは、心にも健康をもたらすからである。

ルルレモンの“ザ・スウェットライフ”という哲学に我々は心底共感できる。そしてこういった健やかなライフスタイルこそが、利己的ではない、サステイナブルな考え方を導くことも十分に理解しているのだ。

lululemon ルルレモン
創業年:1998年
CEO:カルヴィン・マクドナルド
本社所在地:カナダ・バンクーバー
店舗数:国内7店舗、世界534店舗(2021年9月現在)

Sustainable Keywords
・従業員の権限確保と働きやすさを追求
・健康と福祉をサポートする機関の設立
・持続可能な素材を開発するための投資


(※1)ザ・スウェットライフ
ヨガの原則にもとづいた、マインド、身体、精神のエクササイズのこと。ルルレモンのブランド哲学の根幹をなしている。

(※2)ボルトスレッズ社
米カリフォルニアにて創業。2012年に“人工の蜘蛛の糸”と呼ばれる「マイクロシルク」を発表し、一躍有名企業に。

鈴木泰之=写真 加瀬友重=編集・文

SHARE

次の記事を読み込んでいます。