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2022.01.08

“遅いハーレーを速くする”という楽しみ。コツコツ改造し続けたスポーツスターXL1200S

Motorcycle Update▶︎バイクのある人生は素敵だ。お気に入りの一台に跨って、家を出るワクワク感。時を忘れてカスタムに興じる悦び。バイクを楽しむ大人たちをピックアップ!


■納谷 新さん(55歳)



ナヤアラタ。大学卒業後、山本理顕設計工場で山本氏に師事したのち、1993年に兄・学さんとともに納谷建築設計事務所を設立。

住宅から商業施設まで数多くの作品を手掛ける。仕事は多忙だが、「常にヤフオクでバイクを探しています」とバイクへの情熱は熱い。現在は奥さまとワンちゃんの3人(?)暮らしで神奈川県在住。

■ハーレーダビッドソン・スポーツスターXL1200S(1991年モデル)


1903年、アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーで、4人の若者によって設立されたハーレーダビッドソン。その第1号はトマトの空き缶を利用したキャブレターを搭載した409ccの単気筒エンジンのバイクだった。

今や同社の代名詞とも言われる“Vツインエンジン”は1909年に誕生し、納谷さんのスポーツスターXL1200Sも同様のエンジン形式を持つ。シンプルなボディかつ、同社モデルの中では比較的安価でカスタムパーツも多いことから、カスタムベースとしても人気のスポーツモデルだ。

納谷さんのスポーツスターは、ハーレー製エンジンを搭載するハイパフォーマンスなスポーツバイクである『ビューエル』のヘッドを使い、腰上は1996年モデル、腰下は1991年モデルのパーツを使ったハイブリッドエンジンを搭載する。

納谷さんのスポーツスターは、ハーレー製エンジンを搭載するハイパフォーマンスなスポーツバイクである『ビューエル』のヘッドを使い、腰上は1996年モデル、腰下は1991年モデルのパーツを使ったハイブリッドエンジンを搭載する。

■「ダートラ風にカスタムしたかった」

「昔、モトライフっていうバイク屋さんがあって、そこの奥川さんという方の作ったダートトラックテイストのスポーツスターがすごく格好良かったんです。

それに憧れて、モトライフを訪ねてカスタムを始めました。でも、続けるうちにエスカレートして、今はこんな感じのバイクになりましたね」。



「ハーレー」というと、低く構えたバイクにどっかり座ってドコドコ乗るイメージがあるかもしれないが、納谷さんのハーレーはスポーツスター。その名のとおりスポーツタイプだ。しかもこのスポーツスター、ダートのオーバルコースで競い合う“ダートラ”風にフルカスタムされている。

それを印象付けているのが、ハーレーのレース部門であるスクリーミンイーグルのダートトラックシートと、2本出しのスーパートラップ。

実は筆者も20年ほど前にスポーツスターに乗り、同じようなカスタムをしていたことがあったので、このマシンを見たときには正直「ドキッ」とした。



ハーレーのワークスカラーである、ブラックとオレンジに塗り分けられたタンクとシートカウルといい、スーパートラップマフラーといい、同じ時代に、同じようなカスタムバイクをたくさん雑誌で見ていたであろうことを確信できるほど、似たテイストだったからだ。

とはいえ、納谷さんのバイクの方が徹底的にカスタムされていたので、しばらく羨望の眼差しで見入ってしまったのだけど……。



「エンジンはハーレーエンジンを使ったハイパフォーマンスバイク『ビューエル』のヘッドを入れてハイカム組んで、キャブはHSRで、足回りはリアにオーリンズ、フロントは中身を変えて……、前後ホイールはサンダンスの7本キャストで……」。

マフラーはスーパートラップの2本出し。「そのまま付けるとマフラーエンドが10cmくらい後ろに伸びるもんだから、わざわざ一度縦に割いて短くして、再溶接しています。このほうがカッコイイ」と納谷さん。バイクやヘルメットのペイントも、デザインは自分で引いて塗装のみプロが行った。自身が建築家というクリエイティブ職ならではのこだわりだ。

マフラーはスーパートラップの2本出し。「そのまま付けるとマフラーエンドが10cmくらい後ろに伸びるもんだから、わざわざ一度縦に割いて短くして、再溶接しています。このほうがカッコイイ」と納谷さん。バイクやヘルメットのペイントも、デザインは自分で引いて塗装のみプロが行った。自身が建築家というクリエイティブ職ならではのこだわりだ。


とまあ、こんな調子で次から次へとカスタム内容が出てくる出てくる!

パーツブランド名に加えて、モトライフ、プレイン、サンダンスなどといった、スポーツスターのカスタムではお馴染みのショップ名まで頻繁に出てくるのだから、その筋の人が聞けば「ああ、思い切りハマっちゃったんだね!」とクスッと笑うに違いない。



そんな風に自らのハーレーを語ってくれた納谷さんの目は眩いばかりに輝いている。

「結構いじって、まあまあ速いバイクになったと思うんですよね」。

いや、まあまあどころか相当なんだろう。

例えば、以前この企画に登場した“1100カタナ”も、国産のアッパークラスの車が買えるほど“投資”されていたが、納谷さんのスポーツスターも同じ部類か、それ以上かも。

それこそ、“いじっていないところはない”レベルである。



「16歳で原付免許を取って、ヤマハのミニトレGT50を買いました。そいつのチャンバーを替え、バックステップを付け……という具合に、若い頃からカスタムすることが楽しかった。

18歳で中型免許、21歳で限定解除をした後は、今やプレミア価格が付いているカワサキの初期型Z2の中古を当時20万円ほどで購入。その後もう1台Z2を10万円で買い足したりして、それをまたいじってという感じ(笑)」。

車は奥さまのフォルクスワーゲンに加えて、逆輸入版のUSトヨタ・FJクルーザーとワーゲンバスを所有。FJは2010年式の限定車。オフロードを走るのが好きで、前後のフェンダーを外し、細身で大径タイヤを履いて3インチアップしています」と、オフをガンガン走る仕様にカスタムされている。

車は奥さまのフォルクスワーゲンに加えて、逆輸入版のUSトヨタ・FJクルーザーとワーゲンバスを所有。FJは2010年式の限定車。オフロードを走るのが好きで、前後のフェンダーを外し、細身で大径タイヤを履いて3インチアップしています」と、オフをガンガン走る仕様にカスタムされている。


手元にあるのはこのスポーツスターとパッと見ペスパに見えるBAJAJ(バジャジ)だけ。ちなみにこのバジャジとは、インドを代表するバイクメーカーで、納谷さんのはベスパのP200エンジンを積むカスタムバイクだ。

手元にあるのはこのスポーツスターとパッと見ペスパに見えるBAJAJ(バジャジ)だけ。ちなみにこのバジャジとは、インドを代表するバイクメーカーで、納谷さんのはベスパのP200エンジンを積むカスタムバイクだ。



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