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2021.12.15

からだ

「胃がんは“とある検査”で99%防げます」現役ドクターが語る、胃がんの最新事情

「知らないと怖いカラダのサイン」とは…… 
日本人男性の2人に1人が“がん”になると言われて久しいが、なかでももっとも恐ろしい病気のひとつとして認知されているのが、“胃がん”だ。
住吉内科消化器内科クリニックの倉持 章先生によると「胃がんは“とある菌”を除去すれば、99%防ぐことができます」という。ってことで、先生、胃がんのリアルを教えてください!

話を聞いたのはこの人!

倉持 章●住吉内科消化器内科クリニック理事長。10万件を超える検査経験を持つ内視鏡のスペシャリスト。“胃がん死ゼロ”をモットーに、予防と早期発見に注力し地域医療に貢献する。

そもそもカラダのサインがない、胃がん

――「胃がん」と聞くと、どうしても恐怖を感じてしまいます。
確かに、全部のがんのうち男性の胃がんは2番目に頻度が高く、残念ながら胃がんが原因で亡くなられる方も、年間約5万人と非常に多いのが現状です。しかし本来、胃がんは不治の病ではなく、早期に見つけることさえできれば治せる病です。
なのに、初期段階で症状が出ないせいで気付かず放置されてしまうことが多く、 何かしらの症状が出たときにはすでに手遅れとなるケースも少なくありません。
――ということは、胃がんは避けて通ることができない病気なのでしょうか?
遺伝性による避けられないがんがある中で、“防げるがん”として対策を取れるものも多くあります。実は、胃がんがその一つです。原因の99%は「ピロリ菌」であることが世界でも認められています。
――原因は細菌なんですね。
ピロリ菌とは、胃の中に生息する細菌です。人間への正確な感染経路はわかっていませんが、食料や飲料水を介して体内に入ると考えられています。そして感染する時期は、おおよそ5歳くらいまでの幼少期であるとわかっています。なので、成人した大人がこれからピロリ菌に感染することはまずありません。
――つまり、現在ピロリ菌がいなければ、生涯で胃がんになることはないということですか?
まさしく、その通りです。成人である現在、みなさんの体内にピロリ菌がいない(一度もいたことがない)のであれば、この先胃がんになる心配はほぼありません。
――胃がんへの漠然とした不安を、一気に吹き飛ばせそうです。自分の体にピロリ菌が棲んでいないか、いますぐ知りたいです!
正確なことは検査をしなければわかりませんが、これまでピロリ菌検査をしたことのない方には必ず下記の質問をしています。そして、1つでも当てはまる方は、ピロリ菌検査をお薦めします。
① 幼少期、井戸水がひかれているような田舎で過ごした経験がある。
② 家族にピロリ菌陽性と判明している人がいる。
③ これまでに胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍と診断されたことがある。
――これらに当てはまる方は、すぐさま病院での検査が必要なんですね。
例えば、先ほど「胃がんの初期症状はない」とお伝えしましたが、がんになる一歩手前の状態を見つけることができます。
“キリキリした痛み”が特徴である胃炎が続く場合、診断された患者さんのほとんどにピロリ菌が確認されています。慢性的な胃炎は胃潰瘍・十二指腸潰瘍に進行することもあり、事実、胃潰瘍の約80%、十二指腸潰瘍の約90%にピロリ菌が見つかっています
なので、過去に胃潰瘍などと診断された方は、ピロリ菌を発見・除去し、胃がんを防ぐチャンスです。私はこれを “幸運の潰瘍”と呼んでいます。


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