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296GTBのV6エンジンは、新設計。SF90ストラダーレのV8はバンク角が90度であるのに対して。296GTBのV6は120度。フェラーリにとって、V6は量産車ではほぼ初めて(67年登場の「ディーノ」は6気筒だったので当初フェラーリの名がつかなかった)。

そんな新しいV6エンジンでありながら、F1レースの場でたっぷり経験を積んでいるとフェラーリは喧伝する。「(フェラーリの)70 年以上におよぶモータースポーツでの比類ない経験に深く根ざした新たな V6 時代の幕開けを告げる存在」と、今回の新エンジンの特徴を謳いあげるほどだ。
ステアリングホイールには、ハイブリッドシステムのドライブモードセレクターが設けられている。右側に配されたスイッチでは、出力特性などを変えられるため様々なシーンにおける走行に対応ができる。

ピュアEVモード(フル充電で25キロ走行可能)、EVモード優先のハイブリッドモード、エンジンが常時回るパフォーマンスモード(バッテリーへのチャージも行われる)、そしてバッテリーへの充電は行われなくなり最大のパフォーマンスを発揮するクオリティモード、という具合だ。
まだ本国でも量産化が始まっていないので、ここで296GTBの性能について分かったようなことを書くわけにはいかない。それでも大いに期待できると伝えたいのは、SF90ストラダーレのモーターを使った走行システムの見事なパフォーマンスを経験しているからだ。
「車両の究極のパワーとパフォーマンスを最大限に活用したいオーナーのために、296 GTB には(にも)アセットフィオラノ・パッケージが用意されています」。ジャーナリスト向けの発表会の席上で、フェラーリジャパンのフェデリコ・パストレッリ社長は、自信に満ちた言葉で述べた。
「最大パフォーマンスのために一切の妥協を排して、大幅な軽量化やエアロパーツ」を装備したとフェラーリが説明するレーストラックでのスポーツ走行を意識したパッケージだ。専用スポーツダンパーや、強力なダウンフォースを生む炭素樹脂製エアロパーツなどがおごられる。

たとえプラグインハイブリッドでも、つねにサーキットを念頭に置いて開発している、というところが、フェラーリのブランド力の原点なのだろう。ライバルより常に一足先を行くようなフェラーリ。まさに目が離せないようなスピードで、新しい時代へ疾走しているといえる。
フェラーリ296GTBは、2021年10月31日より全国のディーラーで展示されるという。価格は26万9000ユーロ(約3540万円)。さきに触れた296GTBアセット・フィオラーノは30万2000ユーロ(約4000万円)だ。
 
小川フミオ=文 青山鼓=写真
記事提供=Forbes JAPAN


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