OCEANS

SHARE

葉山暮らしに慣れ、冒頭で触れた「ゴアテックス」の有用性もさらに増した。しかし、藤井さんがそこに感じるいちばんの恩恵は防水でも撥水でもなく、防風に尽きるという。
「とにかく葉山は風が強い。聞いた話だと、都内のビルの20階くらいの強さの風が吹いているそうです。現代の大人が日常で雨に打たれる機会はほぼないと思いますが、風はすごく厄介。冬場はそれで一気に体温が下がってしまう。ではどうしのげばいいのか。その答えのひとつが『ポーラテック』の防風性なんです」。
フリースは「ポーラテックウインドプロ」、素肌に触れるカットソーは「マウントブレスウール」という高機能素材で保温と吸湿、抗菌・防臭効果を得られる。もちろん、どちらも手軽に洗濯可能だ。フリース3万8280円、Tシャツ1万7380円、中に着たカットソー1万9580円、パンツ3万9380円、グローブ5280円/すべてノンネイティブ(ベンダー 03-6452-3072)、スニーカー2万6400円/イノヴェイト(デサント トウキョウ 03-6804-6332)、ハット1万2100円/アンドワンダー 03-5787-3460
この日、藤井さんが着ていたベストも「ポーラテック」を使ったノンネイティブの新作。フリースに付きものの風による体温低下が劇的に解消されている。
自他ともに認める服好きとして、これまでに老舗からデザイナーズブランドまで、膨大な数の洋服を着てきた藤井さん。その大半が淘汰されて最終的に自身のクローゼットに残ったのは、こんなふうに機能的だが自然体で心地良く、あらゆる場面でファッションとして成立するデイリーウェアばかりだ。
「街中で異質に見えるのではなく、あくまで日常のワンシーンに溶け込めるのが大前提。そのうえで、着替えることなくさまざまなシチュエーションに対応できれば境界線はなくなる。レイヤードで調整するという考え方もありですね」。
「服を作っている身であんまり『これは着ない、あれは着ない』って言うのも気が引けますが(笑)、自分が着たいと思えるものを作りたいといつも思っています。僕にとってはストレスがないことがいちばんの機能性。たくさん失敗もしてきて、ようやく正解が見えてきた気がします」と藤井さんは話す。
本当にシームレスな洋服を作るために、今日もノンネイティブはゴアテックスにシームを入れるのだ。
 
芹澤信次=写真(人物) 永瀬 歩=写真(取材) 菊池陽之介=スタイリング 竹井 温(&’s management)=ヘアメイク 今野 壘=文


SHARE

次の記事を読み込んでいます。