看板娘、登場
佐藤文香(あやか)さん、36歳。なんとプロの俳人なのだ。俳句の話はあとで伺うとしてフードメニューも拝見。
10種類以上の旬の野菜が摂れる「サラダランチ」(950円)にしよう。
ジンジャーエールも胃に優しい味。野菜たちは石川県能登半島の赤土野菜を契約農家「NOTO高農園」から直接取り寄せている。肥料に籾殻や米ぬかなどを入れて栽培したものだそうだ。
そして、俳人・佐藤さんである。
早稲田大学を卒業後、すぐに第一句集『海藻標本』(ふらんす堂)を出版。さらに、2014年には第二句集『君に目があり見開かれ』(港の人)を出版した。
冒頭のページにはタイトルにもなった「柚子の花君に目があり見開かれ」という印象的な句が載っている。なぜ柚子の花なんですか?
「恋人同士が見つめ合うという表現はよくされますよね。でも、私は『見つめ合う』という言葉で表される以前の情景を描きたいなと」。
白くて見開いている感じがその情景に重なったという。現在は第三句集の出版に向けてラストスパート中で、
6月末には刊行予定だ。
「去年の秋にこのお店で感じた1シーンを書いた句も入れました。『トレビス』という赤紫の葉野菜があって、その葉っぱをちぎっているときはぼんやりと考えごとをしています」。
神戸市で生まれた佐藤さんは「何でもやりたがる子供」だったそうだ。
「週3回、女子サッカーに通って、ほかにも水泳、書道、ピアノと、週6日は習い事に行っていました」。
俳句に出会ったのはいつですか?
「小学校4、5年ぐらいの国語の教科書です。与謝蕪村の『夏河を越すうれしさよ手に草履』という句を見て、いいなと思った記憶があります」。
小6で俳句王国・愛媛県松山市に引っ越す。
「愛媛に来て、夏休みの宿題で俳句を3句と作りなさいと言われました。俳句が作るものだと知らなくてびっくりしましたが、提出したら入賞。『電車待ち駅のホームに燕の子』という、ほんとそのままの句です(笑)」。
さらに、中学時代に俳句にハマり、高校時代は俳句甲子園で「夕立の一粒源氏物語」が個人最優秀句となった。
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