いわゆる「格上げ」効果をもたらす角形ゴールドウォッチ。
なかでもカルティエのそれが他を圧倒するのは、世界初の紳士用腕時計「サントス」の存在が大きい。
時は20世紀の幕開け。飛行家であるアルベルト・サントス=デュモンのために、当時の当主、ルイ・カルティエが作ったスクエアケースは、のちの角形時計の発展に大きく影響を与えたといっていい。
そうした正統を汲む「サントス デュモン」の限定版こそ、今夏、Tシャツに最も似合うとオーシャンズが強く推す角形ゴールドウォッチだ。
まず目につくのは、ゴールドとSSのコンビネーションや、赤く染められたロゴや線路型分目盛りによる華々しさ。そして特筆したいのが、アラビア数字のインデックスや中央に配された波形のギョーシェといったディテールだ。
過去のアーカイブに範を取ったという意匠は、「サントス」自体が持つ、ビス留めされたベゼルやスクエアケースのインダストリアルなテイストとの相乗効果で、骨太感を存分に高めている。Tシャツと相反するのではなく、そのカジュアルさと馴染みつつ、エレガンスを醸してくれるというわけだ。
灼けるような夏の日差しが似合わないわけがない。争奪戦必至だろう。
※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール、K18=18金、PG=ピンクゴールド
高橋絵里奈=写真 髙村将司=文