さて、著者はここで、約2500年前のギリシヤを生きた「現代医学の父」、ヒポクラテスが提唱した“心構え”を引き合いに出している。
<治療にとりかかる前に、病の根源をすべて放棄する覚悟ができているかどうかを患者に尋ねよ>(133ページより)
なぜ、何千年も前の言葉を持ち出してくるのか、それには理由がある。「アダムスキー式腸活法」を進めていくと、人によっては大好きな食べ合わせを我慢しなくてはならなくなるからだ。
とはいえ「身を切るほどの犠牲を払え」ということではなく、「ちょっとした美食の誘惑を断とう」ということなのだが。
つまり、その準備さえできていれば、健康面でも美容面でも、一時しのぎではない具体的な効果が得られるということ。なにかを100%我慢しろというわけではなく、これまで食べてきたものを食べてもOK。ただ、食事の構成を変えることが必要だという考え方なのだ。
「奇跡」でも哲学思想でもない
「アダムスキー式腸活法」は、一時的にやりさえすればどうにかなるというものではないと著者は記している。「奇跡」の健康法でも、哲学思想でもないと。
ただし効果は開始してから数日で表れ、8~12カ月実践することで、機能不全から解放されるために基盤が体の中に整うという。
❶消化管の滑りをよくする
❷蒸発残留物の少ない水を飲む
❸食べ物を正しく組み合わせる
(145ページより)
こうすれば食べ物はひとりでに消化管を滑り落ち、体に必要な物質が正しく吸収されるようになるというのだ。
そう考えると「アダムスキー式腸活法」は、あらゆる視点を考慮しながらバランスをとってつくられた食事健康法にすぎないと言えるのかもしれない。
体や心だけでなく、私たちを取り巻く環境のことも、きちんと考慮に入れてあるわけだ。
個人的には、「奇跡」でも哲学思想でもなく、ちょっとした工夫をすればいいという考え方に納得できるものを感じた。これなら、無理なく取り入れることができる気がするからだ。
印南 敦史:作家、書評家
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