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看板娘、登場

「お待たせしました〜」。
ちろさん(27歳)。横浜で生まれ、小学校からは東京・東大和市で育った。
「男女とも仲が良かったですね。今でも覚えているのは私の家がマンションの2階で、ふつうに外階段から上がればいいのに男の子たちは石垣をよじ登ってベランダから入ってきていたこと(笑)。放課後は誰かの家に集まって『バイオハザード』とかやってました」。
ちろさんが悩み抜いた末に選んだのは「あかし」。
30ccで1600円と少々値は張るが、コクのある味わいになるオロロソシェリーの樽で3年5カ月貯蔵したシングルモルトは香りも気品も高かった。
ワインサーバーを置く店は新宿でも5軒あるかないかだという。
窒素ガスを注入することでワインが空気に触れないので酸化しない。お高いワインはボトル売りだとなかなか注文されないが、これがあれば味の劣化もなくグラスで出せる。
なお、右上のホワイトボードに書かれた「4C風カレー」(900円)が気になる。ウイスキーとの相性が気になるところだが注文してみた。
チャージは1000円(お通し代)。
赤ワインで丸一日煮込んだ牛すじカレーはマスターの自信作。これが驚くほどウイスキーに合うのだ。カレーをつつき、ウイスキーを舐める。新しい世界が見えた。
カウンターの中にはママの明起(あき)さんもいる。
「ちろちゃんですか? 最初は見た目が大人しそうだから大丈夫かなと思ったけど、意外とコミュニケーション能力が高くてびっくり。お客さんに『私も飲んでいい?』『シャンパン開けましょうよ』とかしっかり煽る(笑)」。
ちろさん、「ちゃんと人と状況を見てますから」と照れている。
明起さんによれば、この店はジャパニーズウイスキーに力を入れているそうだ。ちろさんが棚から1本のボトルを取り出す。現在は入手困難な山崎の「ジ エッセンス」シリーズだった。
ネットで調べたらちょっとびっくりするほどのお値段でした。


3/3

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