「人気SUVの初代の魅惑」とは……スバル:初代「レガシィ アウトバック(グランドワゴン)」
SUVと言えば背の高いモデルを思い浮かべがちだが、ステーションワゴンの地上高を高めた、少し背の低いSUVも存在する。
その代表的なモデルがスバル「レガシィ アウトバック」だ。
1984年に登場し、大ヒットしたジープの2代目「チェロキー」の全高は1600mmを超えている。またそれを追うように登場したシボレー「S-10ブレイザー」や、フォード「ブロンコII」はトラックがベースで、全高は1700mm前後だった。
さらに1990年に登場したフォード「ブロンコII」の後継モデル、フォード初代「エクスプローラー」のサイズは全長4680×全幅1785×全高1720mm(5ドア)だ。ちなみに「エクスプローラー」は全米のこのカテゴリー(当時はまだSUVという言葉がなかった)でトップセールを記録、以来モデルチェンジを繰り返しながら14年連続でトップを守った。
つまり、背の高いSUVが売れていたのだ。
そんな中、1994年にアメリカでデビューしたのが初代スバル「アウトバック(アメリカ名)」。
地上高は200mmまで高められているものの、室内高が乗用車レベルゆえ、全高は1550mmしかなかった。それでも4WDの性能と日本車への信頼性、そしてセダンのような乗り心地がアメリカでうけ、ヒットする。
いくら大柄なアメリカ人でも、頭上の空間を無駄に感じる人も意外といるようだ。
ほかのSUVと比べて全高が低く、乗り心地もトラックベースより良かったのは、スバルにベースとなるトラックがなかったという理由が大きいだろう。代わりに使われたのが、2代目「レガシィツーリングワゴン」だ。
1994年といえば、レクサス「RX」が登場する4年前。アメリカンSUVのほとんどが、トラック由来のラダーフレーム構造の中、「RX」に先んじて、乗用車由来のモノコック構造で登場し、それがウケたというわけだ(のちにモノコック構造の「RX」やBMWの「X5」もヒットする)。
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