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2020.07.23

“背の低いSUV”というジャンルを切り開いた、スバルの初代「アウトバック」

「人気SUVの初代の魅惑」とは……

スバル:初代「レガシィ アウトバック(グランドワゴン)」

SUVと言えば背の高いモデルを思い浮かべがちだが、ステーションワゴンの地上高を高めた、少し背の低いSUVも存在する。
その代表的なモデルがスバル「レガシィ アウトバック」だ。
最低地上高が200mmに高められたのを活かし、サスペンションのストロークをたっぷり使って、スポーティなセダン/ツーリングワゴンとは異なる、大らかな乗り味に仕立てられた。
1984年に登場し、大ヒットしたジープの2代目「チェロキー」の全高は1600mmを超えている。またそれを追うように登場したシボレー「S-10ブレイザー」や、フォード「ブロンコII」はトラックがベースで、全高は1700mm前後だった。
さらに1990年に登場したフォード「ブロンコII」の後継モデル、フォード初代「エクスプローラー」のサイズは全長4680×全幅1785×全高1720mm(5ドア)だ。ちなみに「エクスプローラー」は全米のこのカテゴリー(当時はまだSUVという言葉がなかった)でトップセールを記録、以来モデルチェンジを繰り返しながら14年連続でトップを守った。
つまり、背の高いSUVが売れていたのだ。
跳ねた石で割れないようにガードがついたフォグランプや、オールシーズンタイヤ、リアバンパープロテクターなど、レジャーで使われることを前提に専用装備が施された。
そんな中、1994年にアメリカでデビューしたのが初代スバル「アウトバック(アメリカ名)」。
地上高は200mmまで高められているものの、室内高が乗用車レベルゆえ、全高は1550mmしかなかった。それでも4WDの性能と日本車への信頼性、そしてセダンのような乗り心地がアメリカでうけ、ヒットする。
いくら大柄なアメリカ人でも、頭上の空間を無駄に感じる人も意外といるようだ。
インパネデザインも使い勝手も、セダン/ツーリングワゴンと同じ。ただし装備は上級モデル扱いとなり、高級オーディオやMOMO製本革ステアリングなどが標準で採用された。
ほかのSUVと比べて全高が低く、乗り心地もトラックベースより良かったのは、スバルにベースとなるトラックがなかったという理由が大きいだろう。代わりに使われたのが、2代目「レガシィツーリングワゴン」だ。
1994年といえば、レクサス「RX」が登場する4年前。アメリカンSUVのほとんどが、トラック由来のラダーフレーム構造の中、「RX」に先んじて、乗用車由来のモノコック構造で登場し、それがウケたというわけだ(のちにモノコック構造の「RX」やBMWの「X5」もヒットする)。


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