「人気SUVの初代の魅惑」とは……BMW:初代「X5」
20世紀が終わりを迎えようとしていた当時は、トラック由来のオフロードカーをベースとしたSUVが人気を博していた頃。
しかしレクサス「RX」、そしてBMWの5シリーズをベースにした「X5」の登場で、SUVは新章の幕が開いたと言っていいだろう。
登場順に整理すると、「ほとんどの人たちは本当に悪路を好んで走りたいからSUVを選ぶのではなく、このデザインが欲しいんだ!」と気づいたのは、1997年登場のレクサス「RX」(1997年。日本名トヨタ「ハリアー」)が最初であり、2000年デビューのBMW「X5」が二番手だった
その頃のSUVが採用していたラダーフレーム構造とは、いわば梯子状の強固なフレームにボディを載せる構造のこと。ボディが凹んでも、土台であるフレームにダメージがなければそのまま走ることができるし、フレームは強靱なのでそう簡単に、走行不能に陥るほどの損傷を負うこともない。
何もない砂漠や山奥で車が動かなくなれば命に関わる。だから今でもトヨタ「ランドクルーザー」やスズキ「ジムニー」などはラダーフレーム構造を採用している。また当時はBMWのライバル、メルセデス・ベンツのMクラスでさえもラダーフレーム構造を採用していた。
一方で、乗用車のほとんどが採用するモノコック構造(モノコックとは「ひとつの…」という意味)とは、簡単に言えば鉄板で作った立方体(箱)構造。路面からの衝撃をボディ全体で吸収できるため、乗員に揺れが伝わりにくくなる。一方で岩場のような凹凸の激しい場所でかかりがちな強い衝撃に対する許容量は、ラダーフレームには劣る。
つまり、当時は多くのSUVがオンロードの乗り心地より、オフロードの悪路走破性を重視していたのだ。そこに先述のような一石を投じたのがこの「X5」であった。
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