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2020.06.22

ランクル、ジムニー、エスクード。“3分でわかる”日本のSUV史

「SUV大国ニッポン」とは……
SUVという言葉が日本でまだ一般的になる以前、1990年頃まではRVやクロカン四駆などと呼ばれていた。
しかし1997年に登場したトヨタ「ハリアー」の世界的ヒットから、多くのメーカーがプレミアムなクロスオーバーSUVを市場に投入。2010年代に入るとコンパクトタイプも増えていった。

SUV→RV・クロカン四駆と遡っていくと、もともとは山間部や泥地などを走行するために開発された車に辿り着く。悪路を走破する軍用車として開発されたモデルもある。
長きにわたり愛される国産SUVの3つのロングセラーモデルから、戦後75年の日本SUVの歴史を紐解いていこう。
 

■トヨタ ランドクルーザー/ランドクルーザープラド


69年の歴史を誇る、陸の巡洋艦

第二次世界大戦中、トヨタは日本軍用の四輪駆動車を生産。戦後になると警察予備隊(現・自衛隊)への納入を目指した。それが1951年に開発された「ジープBJ」(写真上)だ。
残念ながら警察予備隊への納入は、アメリカ・ウイリス社のライセンス生産である三菱ジープが決まったが、これを機にトヨタは「ジープBJ」を民生用として開発。1953年から生産を開始した。しかしジープという名称はウイリスオーバーランド社が所有していたため、翌1954年に名称を変更。「ランドクルーザー(陸の巡洋艦)」と名付けた。
初代「ジープBJ」に搭載されたのは3.4L直6ガソリンエンジンで、最高出力は82ps。ボディサイズは全長3793×全幅1575×全高1900mmと、かなり小さかった。
1955年に2代目となる20系が、そして1960年には40系が登場。ここからランドクルーザーは以下の3つの系譜に分かれていく。
■ヘビーデューティー系
初代BJの直系で機動力を追求した系譜。BJ(1951年〜)、20系(1955年〜)、40系(1960年〜)、70系(1984年〜)
■ステーションワゴン系
ランドクルーザーならではの走破性に乗り心地の良さや高級感などを加えた系譜。55系(1967年〜)、60系(1980年〜)、80系(1989年〜)、100系(1998年〜)、200系(2007年〜)
■ライトデューティー系
レジャーユースの増加に対応し、居住性やデザイン性を高めた系譜。70系ワゴン(1985年〜)、70系プラド(1990年〜)、90系プラド(1996年〜)、120系プラド(2002年〜)、150系プラド(2009年〜)
ヘビーデューティー系は2004年に国内での販売を終了したが、2014年に70系発売30周年を記念して期間限定で再発売された。
現行の「ランドクルーザー」。
現在販売されている「ランドクルーザー」は2種類。そのうちのひとつがステーションワゴン系の系譜にある200系(写真上)だ。ボディサイズは全長4950×全幅1980×全高1880mmで、威風堂々としたスタイリング。搭載される4.6L V8ガソリンエンジンは最高出力234kW(318ps)、最大トルク460N•m(46.9kg-m)を発生する。
インテリアには高級な革が用いられ、シートベンチレーションや前後左右独立調整式のフルオートエアコンなどの快適装備が備わるりラグジュアリーなイメージだが、一方で初代BJから続く「ランクルは地球上最後に残る車である」という思想が受け継がれている。そのため世界中の過酷な環境での人気が高い。
現行の「ランドクルーザー プラド」。
もうひとつのランクルが、ライトデューティー系の「ランドクルーザー プラド」(写真上)。1990年にプラドというサブネームが与えられ、ランクルの弟分的な存在として独自の進化を遂げてきた。2009年7月に「ハイラックス サーフ」が日本市場での販売を終了してからは、同車のユーザーを取り込む役割も担っている。
系譜には“ライト”という言葉がつくが、ラダーフレーム構造のボディは悪路でも安定感のある走りを可能にし、さらに5つのモードから路面状況に適した走行支援を行うマルチテレインセレクトを搭載。雪道から岩場まで、道を選ばず走ることができる。
現代的ラグジュアリーSUVでありながら、地球上のあらゆる道の走破を目指す姿勢が、変わらぬ魅力なのだ。


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