■スズキ ジムニー
軽さを武器にどんな道でも進んでいく最強SUV
現在も軽SUVとして確固たる地位を築いている「ジムニー」。初代の「LJ10」がデビューしたのは1970年だが、実はそこへ至るまでの歴史がある。
かつて軽オート三輪を製造していたホープ自動車という会社があった。1967年に当時存在した軽免許で運転できる 「ON型4WD」という“四輪駆動不整地用万能車”を開発した。いわば当時の軽自動車規格のジープである。しかしこの製造・販売はうまくいかず、ホープは自社製造を諦めて製造権を譲渡することに。最初は三菱に話を持ちかけるものの、三菱はこれを断る。
この話に目をつけたのが現・スズキ会長の鈴木 修氏だ。社内では反対の声が大きかったが、鈴木氏はそれらを振り切り、「ON型4WD」の製造権を獲得。そこに大幅な変更を加え、1970年に「ジムニー」として世に送り出した。
悪路走破性を高めるラダーフレームの骨格に、前後リーフリジット式サスペンション、低速と高速を切り替えるトランスファーの採用など、軽自動車とは思えない本格的な機能が与えられ、最大登坂能力を27.5度とした。
4代目となる現行型は2018年に登場。2代目の途中でリーフスプリングからコイルスプリングへと変わったほか、現行型も急な坂道を一定速度で降りられるヒルディセントコントロール、衝突被害軽減ブレーキなど先進機能が備えられるようになったが、他社が2WD/4WDを自動で切り替えられるフルタイム4WDへ次々と移行する中、初代同様、手動で切り替えるパートタイム式4WDを採用している。
そもそも初代ジムニーは土木や建設業、林業などの過酷な現場で活躍するプロの道具というポジショニングを念頭に開発された。このコンセプトは現在もブレることなく受け継がれているというわけだ。現行型も山間部や豪雪地帯での仕事、災害救助等のレスキュー活動などの現場で使用されている。
また、ジムニーならではの小回りの良さと走破性は、渓流釣りや林道走行を楽しむユーザーなどからも支持された。プロからモノにこだわるユーザーまで獲得していることも、初代から続くジムニーならではの伝統だ。
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