PORSCHE 911 CARRERA 4S ポルシェ 911 カレラ 4S
ボディサイズ:全長4519×全幅1852×全高1298mm
総排気量:2981cc
燃費:9L/100km 乗車定員:4名
価格:1804万8148円〜
後輪操舵と軽量ボディ、よりパワフルな心臓部を手に入れた8代目新型。一見先代と変わらぬ992型だが、直線的なノーズ、左右をLEDでつないだテールライトは、実は往年の空冷世代がモチーフで、愛好家がニヤリとする意匠なのだ。
コックピットはデジタル化され、運転支援機能も加わり快適性が向上。フラット6+ターボは先代比30PS増しの450PS、8速PDKを組み合わせる。
[1]空冷モデルを彷彿させる水平基調となったコックピット。中央にはApple CarPlay対応の最新インフォテインメントシステムを採用。メーターナセルには伝統の5連メーターを踏襲するも中央速度計以外は液晶化され、ギアシフトもドライブ・バイ・ワイア方式の電気式に。
[2]従来は4WDモデルの意匠であった一直線に伸びるリアテールライトの全車統一が図られた。ちなみにエンジンフードグリルの縦型ルーバーは左右に「9」本、中央のハイマウントストップランプが「11」で「911」を表す洒落っ気も、ニクい。
[3]最新ポルシェのアイコンである4灯式丸形ヘッドライトにも930のデザイン要素が取り込まれている。
最新の992は最良の911か!?
2018年末にモデルチェンジを果たし、992型へとなった911。その大きな変更点は時代の声に応える先進運転支援システムを筆頭としたデジタル化にある。新たな通信規格、5Gの本格導入は秒読みで、コネクテッドする車が主流となりつつある。では、現在のデジタル機能は何に活かされるのか? 安全性の向上と運転支援システムが主たる目的だろう。今や、ポルシェといえども社会としっかり折り合いをつけなければ認められない時代なのだ。
しかし、乗ればそこは911。低く大きな入り口に潜り込み、腰を下ろし、ステアリングを握るとアドレナリンが放出する。目の前には伝統の5連メーターが配されている。センターのタコメーターはアナログだが、左右それぞれ2つはデジタルに。センターコンソールのスイッチ類の数は991型と比べ、とても少ない。電子式となったシフトレバーはもはやスイッチといえるほど小さい。
911は、ステアリング右下にあるキーシリンダーを回してエンジンをかける、というのが伝統であるが、新型では物理的な鍵はなくなってしまった。けれども、992型でもエンジンの始動はボタンではなく、これまでと同様の右下にある“ノブ”を右に捻って行う。ここで992型の大きな特徴を挙げると、911史上最も優れた空力特性を手に入れた、ということである。それは燃費の高効率化につながり、しっかりと今の時代に対応させたことの証しでもある。伝統としてのこだわりを残しつつも、時代性を加味して進化をしているのだ。
少し専門的な話になるが、もうひとつ、ポルシェが強いこだわりを見せるのが、ホイールベースとトレッドの比率だ。この比率の数字が小さくなるほど回頭性が増すといわれる。つまりは操作性が高まる。スポーツカーブランドとしての矜持だろう。 そして、この新型から新機能として全車標準装備となったのが、ウエットモードだ。センサーが濡れた路面を検知すると、ドライバーにそれを通知し、手動でウエットモードへ切り替えるように促す。切り替えると、ポルシェ・スタビリティ・マネジメント・システムや同トラクション・ マネジメント・システムが通常よりも早く介入し、ドライブトレインのレスポンスを抑え安全性を重視した設定になる。四輪駆動であることも安心を助長する。
911は、デジタル化が進もうとも、やっぱり911である。ひと目でそれとわかるフォルムや、リアエンジン・リア駆動の伝統は守られ、独特のドライビングフィールに高揚する。時代とともに進化しつつも本質は変わらない。誰が言ったか知らないが、ポルシェの殺し文句「最新は最良」は確かに頷ける。
3/3