車のトリセツ●走行に関するトリセツはダッシュボードの中にあるけれど、各メーカーの車の魅力を紐解くトリセツはなかなか見つからない。だから始める、オートマティックで好きになったあの車を深掘り、好きな理由を探るマニュアル的連載。
スズキから始まった軽自動車
日本独自の規格であり、その独特の使い勝手やサイズ、手軽さなどから今や世界中にファンがいる「軽自動車」。日本初の軽自動車を作ったのが、スズキである。
1920年、静岡県浜松市で織機の製作会社として創業したスズキ。戦後は織機に見切りをつけ、自転車にエンジンを載せたバイクを作ってヒット。
それを足がかりに1955年に国が定めた軽自動車の規格に初めて適合するスズライトSSを発売。二輪と四輪のメーカーとなった。
「浜松で創業」「バイクから四輪」はホンダとも共通する部分。実は四輪の販売はスズキのほうが先(ホンダは1963年の軽トラックが初)にスタートした。
今、日本でいちばん人気(?)の4WD「ジムニー」
軽乗用車や軽トラックなどを開発する一方で、「軽の特徴が活かされるユニークな車」として1970年に販売されたのがジムニーだ。
梯子(ラダー)状のフレームにエンジンやトランスミッション、足回りなどが備えられ、その上にキャビンを載せるラダーフレーム構造を採用しており、これはトヨタ・ランドクルーザーなどの大型本格SUV(当時はクロカン四駆と呼ばれていた)以外ではほとんど採用されていない。
ラダーフレーム構造は、オフロードでの激しい衝撃を受け止めることができる一方、乗り心地的には不利なため、現在ではセダンなど一般的な乗用車はキャビンとフレームを一体化したモノコックボディが台頭。最近はSUVでもモノコックが主流になっている。しかし、ジムニーは現在でもラダーフレーム構造を採用し続けている。
2018年に4代目となる現行車に切り替わって以来、今時でない四角い武骨なフォルムと本格オフロード機能で絶大な人気を博し、現在でもモデルによっては新車の納車に1年近くかかることも。パーツごとに取り替えがしやすい直線的なデザインは、
カスタムを楽しむためのベース車としても重宝されている。
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