同社の祖のひとり、ゴットリーブ・ダイムラーが遺した言葉に「Das Beste oder nichts(最善か無か)」がある。技術者である彼が、妥協を排して完璧を目指す強い意思を表した言葉だが、今や同社に関わる従業員一人ひとりの判断や行動の指針となっているという。 W124と呼ばれたモデル(1985年〜1995年)を例に取って説明すると、例えばドアミラーの大きさが左右で異なっている。 同じカタチにしたほうがコストを抑えられるのだが、運転席側は横に広く、助手席側は縦に広いほうが運転の際に視野を最適化できるからというのが当時の判断だ。また、リアのコンビネーションランプも敢えて表面に凹凸をつけて、たとえ走行中に汚れても凹の部分には泥がつきにくいから後続車が車を認識しやすいなどなど……。 こうした分かりやすい例以外にも、数多の「妥協なき追求」を続けてきたのが、現在のメルセデス・ベンツなのだ。