シーンを選ばない機能性と汎用性
彼が考え出した最大の発明は、股下に設けられたガゼットだろう。特殊な形状のパネルを股下に配置することにより、クライミング特有の大きく足を上げたり、股を開くような動きの際にも突っ張りを感じない造りに仕上がっている。
また、縫製部分に負荷がかかりづらくなるため、耐久性が高まり、さらにはデザイン的なアクセントにもなるという副産物まで生み出すことになった。このパネルを構成するパーツ数や形状は、デザインや素材の特徴に合わせて少しずつ異なるそうだ。
こうして生み出された抜群に動きやすいパンツは、クライミングのみならず、さまざまなアウトドアアクティビティに使われ、カジュアルウェアとして街でも市民権を得るようになっていった。
「岩場で履けないようなものではなく、常に本物のクライマーたちからも欲され続けるものを作りたい」。
開発から40年近くたった今も、フィールドでもバーでも着られるウェアという当時の基本コンセプトは変わらない。クライマーたちの必要があり続ける限り、マイクとロックスは新たなアイデアと共にシーンを切り拓き続けていくのだ。
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