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2019.11.20

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知ってるつもりのボジョレーヌーヴォー。酒席で役立つ8問8答

毎年11月の第3木曜日、今年も11月21日(木)にボジョレーヌーヴォーが解禁になる。日本でもすっかりお馴染みになったこのワインの祭典。「どうせワイン業界が仕掛けたイベントでしょ?」「美味しくないんでしょ?」と切り捨ててしまうのはもったいない。
そもそも、ボジョレーヌーヴォーが何か、きちんと知っているだろうか?
ナチュラルワインのインポーターでキャリアを積み、現在はフリーのワイン伝道師として活躍する萩野裕之さんに、ボジョレーヌーヴォーの基本と、その楽しみ方を聞いてきた。
萩野浩之さん●1966年大阪出身。ホテル勤務ののち、ワインのインポーターとして25年間勤務。その後独立し、2017年自然派ワインに関するアドバイスやイベントの企画などを行う「アトリエ オッペ」を設立。
 

Q.そもそもボジョレーヌーヴォーって何?
A.ボジョレー地区の、新酒を祝う収穫祭です。

フランスでワイン産地として有名なのはブルゴーニュとボルドー。この2つの地域は、高級産地としても知られていますが、このブルゴーニュの一角、いちばん南端に位置するのがボジョレー地区。
フランスのワイン産地
フランスのワイン産地のおおまかな地図。ボジョレーは東側にある。ジュラやロワールなどは、最近注目が集まっているエリアだ。
そのボジョレーで、その年に採れたぶどうで作った新酒を祝う、いわゆる地域の収穫祭がボジョレーヌーヴォーです。
地域のお祭りが、なぜ日本でここまで広まったのか。それは、日付変更線の関係で、先進国でいちばん早く11月の第3木曜日を迎えるのが日本だったことから、そこにワイン業界が目をつけ、「世界でいちばん早くボジョレーヌーヴォーが飲める!」と宣伝したことにより、日本でブームが巻き起こったのです。
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Q.ボジョレー地区の新酒なら何でもアリ?
A. ぶどうが「ガメイ」じゃなければダメです。

ブルゴーニュやボルドーの赤ワインには、主にピノ・ノワールという黒ぶどうが使われますが、ボジョレーはこの地で採れる「ガメイ」100%で作られます。
ガメイはほかの地域だと違う品種とブレンドされることもありますが、この地域ではガメイ100%でないとボジョレーワインと謳うことはできません。そしてガメイという品種は、早飲み、若いうちに飲むのが美味しいとされています。
醸造方法にも違いがあります。一般的なワインはぶどうを潰してプレスをしますが、ボジョレーは「マセラシオン・カルボニック」という製法で造られます。
これは、ステンレスタンクに上からどんどんぶどうを入れていくというもの。下にあるぶどうは重みで潰され、果汁が出て、自然と発酵が始まります。すると、炭酸ガスが発生し、タンク全体に充満。潰れていない上のぶどうも酵素の働きで分解されますし、ぶどうの皮の色素が早く壊れるため、短期間で色の濃い赤ワインができるのです。
短期間で醸造できるので、ガメイのフレッシュな旨味をキープできるうえ、11月の第3木曜日に間に合わせることもできる。これをピノ・ノワールでやろうと思ってもできません。ガメイだから、マセラシオン・カルボニック製法だから可能で、だからボジョレーヌーヴォーができるんです。
 

Q.ガメイの特徴をひと言で教えてください!
A.“失敗”が少ないぶどうです。

ガメイは若いうちに飲むのが美味しいとされる品種です。シンプルかつフレッシュで、タンニンは穏やか。ぶどうの果実味や酸味、華やかな香りが特徴です。
ガメイは「GAMAY」と書く。自然派ワインの人気の造り手、ジュリアン・メイエーがガメイのぶどうを購入して造ったこちらは、今年リリースされたがあっと言う間に売り切れた。
とてもニュートラルなので、赤ワインの渋みが苦手な方でも飲みやすく、いろいろな料理との相性もいいので、売る側からすると勧めやすく、飲む側からすると失敗しづらい(笑)。ワインを普段飲まない方にもオススメです。
とはいえ、いいワインになるとシンプルな中にも深みがあったり、落ち着いた香りが出てきたり、表情豊かなぶどうなんですよ。
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