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Q.ボジョレー地区の新酒なら何でもアリ?
A. ぶどうが「ガメイ」じゃなければダメです。

ブルゴーニュやボルドーの赤ワインには、主にピノ・ノワールという黒ぶどうが使われますが、ボジョレーはこの地で採れる「ガメイ」100%で作られます。
ガメイはほかの地域だと違う品種とブレンドされることもありますが、この地域ではガメイ100%でないとボジョレーワインと謳うことはできません。そしてガメイという品種は、早飲み、若いうちに飲むのが美味しいとされています。
醸造方法にも違いがあります。一般的なワインはぶどうを潰してプレスをしますが、ボジョレーは「マセラシオン・カルボニック」という製法で造られます。
これは、ステンレスタンクに上からどんどんぶどうを入れていくというもの。下にあるぶどうは重みで潰され、果汁が出て、自然と発酵が始まります。すると、炭酸ガスが発生し、タンク全体に充満。潰れていない上のぶどうも酵素の働きで分解されますし、ぶどうの皮の色素が早く壊れるため、短期間で色の濃い赤ワインができるのです。
短期間で醸造できるので、ガメイのフレッシュな旨味をキープできるうえ、11月の第3木曜日に間に合わせることもできる。これをピノ・ノワールでやろうと思ってもできません。ガメイだから、マセラシオン・カルボニック製法だから可能で、だからボジョレーヌーヴォーができるんです。
 

Q.ガメイの特徴をひと言で教えてください!
A.“失敗”が少ないぶどうです。

ガメイは若いうちに飲むのが美味しいとされる品種です。シンプルかつフレッシュで、タンニンは穏やか。ぶどうの果実味や酸味、華やかな香りが特徴です。
ガメイは「GAMAY」と書く。自然派ワインの人気の造り手、ジュリアン・メイエーがガメイのぶどうを購入して造ったこちらは、今年リリースされたがあっと言う間に売り切れた。
とてもニュートラルなので、赤ワインの渋みが苦手な方でも飲みやすく、いろいろな料理との相性もいいので、売る側からすると勧めやすく、飲む側からすると失敗しづらい(笑)。ワインを普段飲まない方にもオススメです。
とはいえ、いいワインになるとシンプルな中にも深みがあったり、落ち着いた香りが出てきたり、表情豊かなぶどうなんですよ。
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Q.ボジョレーヌーヴォーって、ワイン通の人たちも飲んでるんですか?
A.今は増えたと思います。

Q.ボジョレーヌーヴォーって、ワイン通の人たちも飲んでるんですか? A.今は増えたと思います。
ボジョレーヌーヴォーは、実は、ワインに精通した人は手を出さない世界とも言われてきました。いくらガメイが早飲みできるぶどうだからって、そんなに早く造ったワインがクオリティを伴っているわけはないという意見もありますし、ボジョレー地区の生産者の中にも「ワインは日にちに合わせて作るものではない」と主張する人もいます。
でも、15年ほど前から新しい流れが出てきています。それが、ナチュラルワインのボジョレーヌーヴォー。僕も気になる作り手のボジョレーヌーヴォーは飲んでいますよ。
 

Q.ということは、ボジョレーヌーヴォーはアリ?
A.はい!今はすごくアリな時代です。

先ほどお伝えした自然派のボジョレーヌーヴォーの登場で、ずいぶん面白くなってきています。大量生産のそれとは異なり、小さなワイナリーから渾身のヌーヴォーが続々と出てきていますから。
先ほど、ガメイはシンプルで、高い表現力があるとお伝えしました。だからこそ造り手の思いが表現されたワインがたくさんあって、その味の幅はとても広い。つまり今、ボジョレーヌーヴォーは選択肢がものすごく広くなっているのです。
美味しいか美味しくないかは主観なので一概には言えません。ワイン通の人ほどクオリティで語りたがりますが、僕としては、造り手の個性やストーリーを楽しんでもらいたい。同じ品種で、同じ製法で作っても、こんなに多様なキャラクターのワインが出来るんですから。
造り手やワインの個性を楽しむきっかけとして、ボジョレーヌーヴォーはぴったりだと思いますね。
 

Q.今年の出来はどうなの?
A.僕も想像できません。

毎シーズン、今年のボジョレーヌーヴォーの出来は……というのがニュースになりますが、正直今年は、夏に40℃以上の日が続いたりヒョウが降ったりと、前例のない天候でまったく想像がつきません。
ただ、ナチュラルワインでは、天候を良し悪しではなく、恵まれた、恵まれなかったという言い方をします。恵まれた年は果実味が前面に出たワインが多く、恵まれなった年はぶどうの味は奥に引っ込みますが、代わりに地中から吸い上げられたミネラル感を楽しめるものになっています。何かを足して味をごまかすのではなく、その年の特徴をストレートに表現したものが楽しめるのも、自然派のボジョレーヌーヴォーならでは。想像できないほうが楽しめる年ともいえます。
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