「街中で映える、格好いい車はないかな」とお考えなら、マツダのCX-30は見ておいたほうがいい。
10月に発売された新しいSUVで、マツダが考える独自のデザイン哲学が込められた車だ。
マツダのCX-30に見る「光をデザインすること」
東京ミッドタウンに展示されたマツダのブースでは、CX-30の周りには大型のLEDモニターがいくつか用意されていた。それは「光の移ろい」の美しさを表現したという。
ん? 車の格好良さってフォルムだったり、顔つきだったりが重要ではないのか。なのになぜ「光」? マツダの前田常務取締役に聞く機会を得た。
「そもそも自ら発光しない物体は、光が反射することでフォルムや色を認識できます。だから光がないと何も見えないですよね。なので光はとても重要なんです」。
確かに真っ暗闇の中じゃ何も見えない。でも、今回の展示のように「光の移ろい」に注目するんじゃなく、単純にフォルムの美しさを見せるだけでもいいのでは? 「我々がCX-30でこだわっているのは、光の質なんですよ」。
光の質? 「例えばベタッとした面は広く均一に光るだけで、抑揚がない。そうではなく強い光から弱い光へ変化する、そんな光の変化の美しさを重視しているんです」。
車が格好いいかどうかの基準のひとつに、フォルムはもちろんある。しかしそれだけでなく「このCX-30では光が移ろうことで、まるで生き物のような躍動感や存在感を与えたいんです」という。光の強弱や映り込むカタチの変化、揺れ動き……そうした光の移ろいで車を生き物のように見せる。
何でもこのデザインテーマは、今年5月に発売されたマツダ3からなんだとか。「表現方法としては今年の5月からの新しい取り組みですが、このデザインの骨格というか哲学は、実は10年ほど前から変わっていません」。
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