去る1月にスイス・ジュネーブで開催された「SIHH2019」「WPHH」を中心とする腕時計の祭典。本誌取材班は今年も海を越えてかの地へ。そこで見た感動と世界の目利きたちが唸った傑作を厳選してお届けする。
今年は哲学・スケルトン・クラシックという3つのキーワードを軸に数々の新作を発表したフランク ミュラー。いずれもブランドの“らしさ”が宿る粒揃いのラインナップだった。
アールデコ期の優雅なバカンスの旅に誘う
2019年はカサブランカ誕生25周年に当たる。1920〜’40年代の優雅なモロッコ旅行から着想を得ており、それまでブランドが扱っていなかったSSを初採用したことで、ブランドの世界観をさらに広げたエポックメイキングな名作だ。
この25周年記念モデルは、北アフリカの紺碧の空、赤茶けた砂岩、エキゾチックに彩られた建物をイメージし、カーフベルトもラフな風合いで仕上げている。
反逆の哲学を得て、いっそうアヴァンギャルドに
アグレッシブで力強い曲線ケースに、独自機構のクレイジー アワーズの“時への反逆”の哲学を吹き込むことで、さらに個性を増した。インデックスがランダムに配置されているが、正時になると正しい位置に時針がジャンプ。まさに人生は自由であることを伝えてくれる。
決して戻ることのない時間へのオマージュ
由緒ある「トノウ カーベックス」だが、よく見ればインデックスが逆回りに配置され、時分針も逆回転する。これも常識に逆らい、時のあり方自体を哲学するブランドの真骨頂といえよう。
レマン湖を望む高台にあるフランク ミュラー ウォッチランド
今回はココにお邪魔し、新作をじっくり拝見。敷地内には自社時計工房も併設する。送迎はなんとロールス・ロイスだった!
※本文中における素材の略称:K18=18金、PG=ピンクゴールド、SS=ステンレススチール
柴田 充、水藤大輔=文